バーベルを持ちながらスクワット!「フロントスクワット」の効果とやり方

[ 2023年6月3日 12:00 ]

 フロントスクワットとはバーベルを体の前面に担いで行うスクワットのこ重量挙げの種目クリーン&ジャーク部分でもあります。

 床に置かれたバーベルを肩の前まで持ち挙げて、しゃがんだ姿勢から立ち上がるまでの動作クリーンと呼びますそのとき立ち上がる際のバーベルの担ぎ方がフロントスクワットと同じなのです。

 そのためフロントスクワット重量挙げの選手によく用いられるトレーニングですが、それ以外の人が行ってもさまざまなメリットがあります。

フロントスクワット正しいフォームとやり方 

 両足肩幅程度に開き、バーベルを体の前方で担ぎます。手のひらを上に向け、ヒジをバーベルの前に突き出し、なるべく高い位置で保ちます。この姿勢をフロント・ラックと呼びます。 

 ヒジと手首の角度を固定したままスクワットを行いましょうお尻を後方に動かし、膝より下の位置に来るまでしゃがみます。立ち上がったときはヒザと腰を完全に伸ばしましょう。

▲前から見たフロントスクワット

▲横から見たフロントスクワット

押さえておきたいポイント

バーベルは強く握らず、指を添えるだけにする
背筋常に伸ばし、かかとは常に床に

フロントスクワットのトレーニングポイント 

 フロントスクワットとくに大切なポイントは、以下の2つです。

バーベルの負荷に負けないよう姿勢を保、上半身が前屈みにならないようにする
バーベルは握るのではなく、肩に乗せるフロント・ラック

  バーベルが動かないよう肘を高く上げて、上腕部が床と平行になるようにしましょう。指は軽く添えるだけにします。

フォーム練習

 握力や腕力に頼ることなく、バーバルを体の前に置いてスクワットをする感覚を養うために、「両腕を前に伸ばし、バーベルを肩の上に乗せてスクワットを行う」という方法があります。バーベルを落とさスクワットできるようになるまで練習してみてください。

 なお、あくまでフォームの練習ですので、重量プレートをつける必要はありません。バーベルだけでも重すぎると感じるなら、塩ビパイプなどを使ってもよいでしょう。

バックスクワットといは

ほぼ同じ筋トレ効果を得ることができ

 一般的にはバーベルを背中側で担ぐバックスクワットの方がよく知られているでしょうフロントスクワットバックスクワットとほぼ同じ筋トレ効果を得ることができます。どちらも臀部ハムストリングス、大腿四頭筋ふくらはぎ、腰、背中など、下半身全体および体幹部分の筋肉を効率よく鍛えることが可能 

フロントスクワットは腰に不安がある人にオススメ

 フロントスクワットバーベルの負荷が体の前面にかかるので背中の下から腰にかけての負担がバック・スクワットに比べてやや軽くなります。そのため、腰痛持ちの人その不安がある人でも重量を用いたスクワットができるという点は大きなメリットす。

 肩や肘、手首に不安がある人バックスクワットがオススメ

 フロントスクワットバック・スクワットにはない肘、手首などの柔軟性および可動域が求められますに難がある人はバック・スクワットの方が取り組みやすいでしょう

下半身の筋肥大を優先させたい人はバックスクワットがオススメ

 扱える重量もフロントスクワットはバック・スクワットに比べ12割ほど軽くなることが普通です下半身の筋肥大を何よりも優先させたい人はバック・スクワットの方が向いているかもしれません。 

上半身が固いのための可動域トレーニング

フロントスクワットを続けていくうちに肩の可動域広がっていく

  正しいフロントスクワットを行うためには、可動域が不可欠です。しかし、長時間のデスクワークをする人など肩周辺の可動域が狭にとってフロント・ラックの姿勢はかなり厳しいものになるでしょう克服するには時間がかかります。

 フロントスクワットできる範囲内で繰り返しいましょう。可動域少しずつ広がっていきます。本来正しい筋トレは柔軟運動でもあるのです 

肩の可動域を広げるウォームアップ、フォームローラー筋膜リリースもおすすめ 

  同じ理由で、フロントスクワットを行う前のウォームアップでは、肩や腕の可動域を広げる動きも必ず含めるようにしましょう。フォームローラーなどで行う筋膜リリースも有効です。

胸の前で両腕を交差させてフロントスクワットを行う

 それでも、今すぐフロントスクワットのメリットを得たいという人は、胸の前で両腕を交差する方法を試してみてください。

 このフォームはあくまで便宜的な対処法であり、本来の形でフロントスクワットができるように努力するべきなのは言うまでもありません。

バーベルの代わりにダンベルとケトルベルを使う

 また、バーベルの代わりダンベルとケトルベルを使うこともできます。この場合可動性へのハードルは非常に低くなりますが、扱える重量には限界があることを覚えておきましょう 

▲ダンベル・フロントスクワット。ダンベルの片側のヘッドを肩の上に乗せる。

▲ケトルベル・ゴブレットスクワット。ダンベルで行うこともできる。ウエイトを胸の近くで持つ。

[筆者プロフィール]
角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。IT関連の会社員生活を25年送った後、趣味のスポーツがこうじてコーチ業に転身。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー部監督を務める。また、カリフォルニア州コンコルディア大学にて、コーチング及びスポーツ経営学の修士を取得している。著書に『大人の部活―クロスフィットにはまる日々』(デザインエッグ社)がある。
【公式Facebook】https://www.facebook.com/WriterKakutani

<Text & Photo角谷剛 

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