京産大 “天敵”慶大撃破4強 今冬初先発の三木復活トライ 初の日本一へ準決VS早大

[ 2022年12月26日 06:00 ]

ラグビー全国大学選手権準々決勝   京産大34―33慶大 ( 2022年12月25日    ヨドコウほか )

<京産大・慶大>後半 キックチャージからトライを決め、歓喜の京産大・三木(中央)(撮影・成瀬 徹)
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 関西王者で初の大学日本一を狙う京産大が過去4戦全敗だった慶大を34―33で退け、2大会連続の4強入りを決めた。殊勲の立役者はことし5月に左ひざを骨折し、今冬初先発だったフランカー三木皓正(3年=京都成章)だ。1年生だった2大会前の全国舞台でも敗れた“天敵”から後半18分にトライを奪い、勝利に貢献。1月2日の準決勝で早大と激突する。昨大会優勝の帝京大、筑波大も準決勝へ駒を進めた。

 悲願の大学日本一を目指す京産大に頼もしい男が帰ってきた。広瀬佳司監督が「FWを前に出してくれたし、DF力も上がった」と絶賛したのが三木だ。春に負った左ひざ骨折の影響で、リーグ戦では終盤に2試合途中出場しただけ。だが、3日のリーグ最終節から3週間余り空いたことで、完治に至った。待ちわびた舞台。燃えない方がおかしい。

 「勝ちきれてよかった。でもミスタックルもある。まだまだできると感じている」

 三木がいなければ、負けていたかもしれない。後半31分にはシンビンでFB辻野が一時退場。数的不利で猛攻にさらされ、最後は1点差に詰め寄られるヒヤヒヤの展開だった。だからこそ、後半18分に奪った“仰天トライ”の価値が際立つ。

 敵陣深くで慶大FB山田のロングキックに猛チャージを仕掛けて豪快にブロック。そのままボールを抱え込み、右手を高々と掲げながらインゴールへ飛び込んだ。「相手がロングを蹴るのはわかっていた。プレッシャーをかけるのはチームでもやっていた」。はにかむ笑顔の裏に、この一戦に懸ける強い思いも凝縮されていた。

 雪辱の舞台だった。2大会前の3回戦で、2つ上の兄・亮弥さん(当時4年)が在籍した慶大に完敗を喫していた。三木にとってはただの1敗ではなかった。兄の背中を追い、一度は憧れを抱いた慶大相手の敗戦は大きなダメージが残った。

 高校3年時、進路先で慶大を諦め「浪人も考えた」という三木。失意に暮れる中、声をかけてくれたのが京産大だった。「京産大が(自分を)拾ってくれた。きょうは人生の中で一番勝ちたい試合だった」。過去4戦全敗だった“天敵”を破ったとはいえ、ここはまだ通過点だ。準決勝は早大と激突する。

 「まだ関西リーグからの反省が改善されていない。1週間、勝つ準備をしたい」

 三木は一つ、大きなけじめをつけた。もう過去は振り返らない。前へ、前へ突き進むだけだ。(八木 勇磨)

 ◇三木 皓正(みき・こうせい)2002年(平14)1月22日、京都府出身の20歳。小1の時に洛西RSで競技を始め、京都成章では2、3年時に花園出場。3年時は主将として4強進出を果たした。高校日本代表。京産大では1年から公式戦に出場。フランカー。1メートル75、95キロ。

 ▽京産大ラグビー部 1965年(昭40)の大学開学とともに創部。大西健元監督が73年に就任し、74年にAリーグ昇格。同氏が指揮を執った47シーズンで、関西リーグを4度制覇(90、94、97、98年度)。全国大学選手権には82年度に初出場し、今年度で36度目の出場。最高成績は4強(83、85、90、93、94、97、06、21年度)。主なOBは、世界殿堂入りを果たした大畑大介、元日本代表の吉田明、田中史朗ら。

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2022年12月26日のニュース