レスリング・樋口が復活V 2年ぶり57キロ級でパリ五輪へ第一関門突破 リオ五輪銀“マカロン王子”

[ 2022年12月25日 04:20 ]

レスリング全日本選手権第3日 男子フリースタイル57キロ級決勝   樋口8-4新井 ( 2022年12月24日    東京・駒沢体育館 )

男子フリースタイル57キロ級、優勝し、メダルと賞状を手にする樋口(撮影・木村 揚輔) 
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 男子フリースタイル57キロ級で、16年リオデジャネイロ五輪銀メダリストの樋口黎(26=ミキハウス)が3年ぶりの優勝を果たした。昨夏の東京五輪はプレーオフで高橋侑希(山梨学院大職)に敗れて出場を逃したが、現役を続け見事に再起。24年パリで2大会ぶりの五輪出場へ、第一関門を突破した。

 再び五輪のマットに戻るため、仕切り直しの一歩を踏み出した。2年ぶりに57キロ級で出場した樋口が、3年ぶり4度目の日本一。「一番勝ち切らないといけない最初の大会だった。でも挑戦者の気持ちでリラックスして臨んだ。及第点かな」。20歳で銀メダルを獲得し“マカロン王子”ともてはやされたリオ五輪から6年あまり。酸いも甘いも知った26歳は、落ち着いた表情で振り返った。

 18年には65キロ級でU―23世界選手権を制したように、骨格も筋量も本来は2階級上。57キロ級では過酷な減量が伴い、21年4月の東京五輪アジア予選では体重超過で失格。その後のプレーオフで高橋侑希に敗れ、2大会連続の五輪出場を逃した。「今回もきつかった」と苦笑いしたが、前日行われた高橋との準決勝はテクニカルフォールで圧勝。悪夢を振り払い勢いを決勝にもつなげ、「(高橋戦は)自分のいい形を出せて良かった」と話した。

 第一関門を突破し、来年6月の全日本選抜も制すと世界選手権代表に決まるが、最大の敵は自分自身だ。「技術うんぬんよりも、試合でベストを出すために、いかに57キロ級に最適化できるか」。今後半年間は除脂肪体重を54キロ、体脂肪8%に抑え、体重そのものも60キロ以下をキープするのが最大の課題とした。
 五輪に遅れること6年で初出場した世界選手権は61キロ級を制すなど、無敗で終えた22年。「選抜までに半年あるので、さらに強くなりたい」。屈辱からはい上がった男の言葉は力強かった。

 ◇樋口 黎(ひぐち・れい)1996年(平8)1月28日生まれ、大阪府吹田市出身の26歳。4歳から吹田市民教室で競技開始。茨城・霞ケ浦高―日体大を経て21年にミキハウス入社。初五輪だった16年リオ大会で銀メダルを獲得。18年U―23世界選手権65キロ級、22年世界選手権61キロ級を制覇。得意技は片足タックルとアンクルホールド。1メートル64。

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