遼、2年11カ月ぶり復活V 「正直、信じられない」蝉川を逆転&星野とのPO制す

[ 2022年11月14日 04:25 ]

男子ゴルフツアー 三井住友VISA太平洋マスターズ 最終日 ( 2022年11月13日    静岡県 太平洋クラブ御殿場C=7262ヤード、パー70 )

プレーオフを制し、キャディーと抱擁をかわす石川(撮影・会津 智海)
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 3打差2位から出た石川遼(31=CASIO)が通算8アンダーで並んだ星野陸也(26=興和)とのプレーオフを制し、19年12月の日本シリーズJTカップ以来、2年11カ月ぶりの復活優勝を遂げた。30代初Vでツアー通算18勝目。スイング改造と「2メートルのバーディーパット」から逆算されたマネジメントが10年と12年に制した相性のいいコースで実を結んだ。史上初のプロとアマで同一年優勝を目指した蝉川泰果(21=東北福祉大)は76と崩れて8位に終わった。

 雨に打たれながら天を仰いだ。ふぅーと大きく息を吐き、キャディーと歓喜の抱擁をかわす。18番パー5でのプレーオフ2ホール目。石川が4メートルのウイニングパットを沈め、激闘に終止符を打った。「正直、信じられないです。実感がない」。パットは自信を持って打った。ど真ん中から決めた。それでも頭の中は真っ白になった。

 第1打を右の林へ曲げた。2打目は左ラフへ出すだけ。だが真骨頂はここから。残り130ヤードで48度のウエッジを握った。「(雨で)空気も重い中(ピンと)同じ段に乗せられて良かった」。土壇場のスーパーショットだった。大会中、優勝した自分を想像した。喜びや感傷よりも「まだ凸凹。まだ磨けるな」という感情が先に来た。だからこそピンチにも動じなかった。

 最後の優勝からは約3年が過ぎた。かつてのハニカミ王子も30代。当然、ゴルフは変わった。以前は「祈りながらマン振り。1分の1に懸けていた」。今は「いかに安定して2メートルのバーディーパットを打てるか」から逆算したマネジメントを徹底する。4メートルにつけたウイニングパットもその象徴。まさに大人のゴルフだった。

 2年半、取り組むスイング改造も完成型に近づいた。トップを浅くコンパクトに。ロングショットの正確さ、再現性を高めるのが目的だ。「今の状態は変わらないと思う。そういう段階。後は自分の感性を吹き込むだけ」。9月までは振り幅と距離と記したメモを持ち歩いたが、もう頭の中にある。

 50周年を迎えた今大会は入場無料。4日間で延べ2万6702人と近年では記録的なギャラリーを集めた。「素晴らしい景色に涙が出そうになった」と言う。そんな石川が大会中は避けていた言葉もある。「もっと見に来てもらえるように頑張りたいと言ってきましたが、実はその前に“金を払ってでも”があるんです」。

 勝負を決した奇跡のバーディーなどコースでしか出合えない。男子ゴルフのポテンシャルを示し、誰もが幸せになった4日間。その中心にはやはり「石川遼」がいた。

 《公式サイトにアクセス集中》優勝争いが佳境を迎えたタイミングで、日本ゴルフツアー機構(JGTO)の公式サイトにアクセスが集中し、つながりにくくなるアクシデントが発生した。JGTOでは公式ツイッター上で「ご迷惑をお掛けしております」と投稿。改めて石川の注目度の高さを示す現象となった。

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2022年11月14日のニュース