【玉ノ井親方 視点】調子取り戻しつつある御嶽海 逸ノ城相手に狙い通りの逆転勝ち

[ 2022年11月14日 19:30 ]

大相撲九州場所2日目   ○御嶽海(押し出し)逸ノ城● ( 2022年11月14日    福岡国際センター )

<大相撲九州場所>逸ノ城(右)を押し出す御嶽海(撮影・中村 達也)
Photo By スポニチ

 御嶽海の狙い通りの一番だった。

 立ち合いは逸ノ城に圧力をかけられ前に出られた。しかし、それは想定内。相手が右差しを狙ってきたところを、あえて自分が右に回り込むことで逸ノ城の差し手を封じた。

 そして、いなしながら体を入れ替える。両者が見合う形で一瞬動きが止まったが、すぐに右はずで相手の巨体を押し上げそのまま前に出た。

 逸ノ城にすれば、立ち合いは自分の方が良かったのに、いつの間にか体勢を逆転され「あれっ!?」という感じだったのではないか。右差し狙いの逸ノ城の相撲を読み切り、差し手を許さずに、右に回り込んだ御嶽海のうまさが光った。

 夏場所の高安戦で右肩を負傷。ここ3場所は調子を崩していたが、徐々に状態も良くなっているようだ。

 私も現役時代に相手に頭でかまされ、右肩を負傷した経験がある。その時は「もう1度当てられたら大丈夫だろうか」と恐怖心が芽生えた。しかも右をかばって左に頼っているうちに、今度は左にも負担がかかるようになった。負のスパイラルに陥った感じだった。

 ただ、今場所の御嶽海は初日の明生戦も体がよく動いていたし、この日も回り込む動きは良かった。まだまだ完ぺきな相撲ではないが、御嶽海らしい相撲を少しずつ取り切れるようになっているのは間違いない。 (元大関・栃東)

続きを表示

2022年11月14日のニュース