阿部兄妹が五輪に続き同日世界一 兄の一二三はライバル丸山に4連勝「阿部きょうだいが世界で一番強い」

[ 2022年10月8日 05:15 ]

世界選手権第2日 ( 2022年10月7日    ウズベキスタン・タシケント )

柔道の世界選手権男子66㌔級決勝で丸山城志郎(下)を下し優勝した阿部一二三(共同) 
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 日本人対決となった男子66キロ級決勝は、東京五輪金メダルの阿部一二三(25=パーク24)が3連覇を狙った丸山城志郎(29=ミキハウス)を優勢勝ちで下し、4年ぶり3度目の優勝を果たした。五輪代表の座を争ったライバルには4連勝で、連覇を目指す24年パリ五輪代表争いでもリードを広げた。女子52キロ級も東京五輪金メダルの妹・詩(22=日体大)が3年ぶり3度目の優勝。18年世界選手権、東京五輪に続く兄妹同日世界制覇の快挙となった。

 畳を下りた一二三を待っていたのは、先に優勝しても喜び切れず、兄の試合を固唾(かたず)をのんで見守っていた詩だった。2人は笑い合い、称え合うようにハグ。18年世界選手権、昨夏の東京五輪に続き、3度目の兄妹同日世界一を家族の前で成し遂げ「やっぱりうれしい。これで阿部きょうだいが世界で一番強いと、たくさんの人に分かってもらえたと思う」と実感を込めた。

 4月の選抜体重別以来、通算10度目となった丸山戦。1年10カ月前の五輪代表決定戦とは異なり、一切の忖度(そんたく)がない審判は早々と両者に指導を出し、1分10秒過ぎ、2つ目の指導で追い込まれた。だがそこからが五輪王者の真骨頂。丸山が不十分な体勢で掛けた内股に合わせ、小外掛けで技あり。「我慢する場面もあったが、しっかり勝ち切れた。成長している証」と胸を張った。

 日本柔道史上初となるワンマッチでの五輪代表決定戦で24分間の死闘を制し、東京五輪では兄妹優勝を達成。押しつぶされそうなプレッシャーと1年以上も闘い、そして勝った一二三は「自信がついた。精神面の成長は凄く大きく感じる」と語る。負けが込んだ19年は勝負どころを誤ることが多かったが、「めちゃくちゃ集中して燃えていても、気持ちに余裕がある」状態をつくり出し、決勝でも一瞬のチャンスをものにした。

 この先も続くパリ五輪の代表争いだが、「勝つか負けるかはでかい。節目」と“天王山”に位置づけていた今大会。「直接対決で勝ってパリへ近づけた」と通算対戦成績でも6勝4敗と丸山にリードを広げた。兄妹そろって五輪2連覇へ。まだ誰も見たことのない景色が、うっすらとその姿を現し始めた。

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