井戸木鴻樹＆新井貴浩のゴルフ化学変化⑦　爪先下がり・爪先上がりのライからの打ち方

[ 2022年5月27日 12:00 ]

　丘陵コースでティーショットを大きく曲げると、爪先下がりや爪先上がりのライから2打目を打つことになります。アマチュアの多くが苦手とする状況です。どちらのライもうまく打てないと悩む新井貴浩に井戸木鴻樹プロが攻略のコツをアドバイス。【動画で見る・井戸木鴻樹＆新井貴浩のゴルフ化学変化⑦】

　常住　まずは爪先下がりのライからですが、新井さんはどのようなことを心掛けていますか？

　新井　上体の前傾角度をキープしたまま振ることだけを考えています。

　井戸木　非常にいいと思いますね。その他に、私がよくアドバイスするのが、膝の高さを変えずに振ることです。バランスを取りにくいライなので、体の回転や体重移動などを極力抑え、腕だけで振るイメージを持つと、ボールをヒットしやすくなりますよ。

　新井　膝の高さを変えないという話は初めて聞きました。これからは自分も心掛けたいと思います。

　井戸木　上体の前傾角度をキープすることでも大丈夫ですよ。それよりも、新井さんの場合、ダウンスイング以降に体が目標方向に突っ込みがちなので、そこを修正したほうが良いですね。頭と体の軸を動かさずに、フィニッシュの位置までクラブを持ってくるイメージで打ちましょう。

　新井　体の軸を動かさずに、腕だけで振るんですね。試しにやってみます。

　井戸木　先ほどはこわごわ打っているように見えましたが、今度はしっかりクラブを振れましたね。そのほうが番手通りの距離を出せると思いますし、ミート率も高くなります。

　常住　それでは、次に爪先上がりの打ち方を教えてください。

　井戸木　爪先上がりのライからは2種類の打ち方があります。通常、爪先上がりのライから打った場合、ボールは左に曲がります。そのため、まず目標の右を向いて構えます。しかし、その向いた方向に木があったらどうしますか？ボールを右へ打ち出せないときは、目標に向かって構え、意図的にストレートのボールを打つようにします。

　新井　自分は目標の右から左に曲げて打つことしか考えていませんでした。

　井戸木　ではその打ち方から説明しましょう。まず、傾斜の度合いに応じて、ボールがどれだけ左に曲がるのかを考えます。これは正直、感覚の問題になります。例えば5ヤード曲がると考えたら、目標の5ヤード右を向きましょう。ボールの位置はスタンスの中央。前が高くなっている分、クラブを短く持ちます。どれだけ短く持つかは、前傾姿勢が起き上がったり、深くなり過ぎない程度に合わせて握ります。

　常住　もう一つの打ち方もお願いします。

　井戸木　クラブを短く持ったり、ボールをスタンスの中央に置くのは同じです。異なるのは、1クラブか2クラブ番手を上げること。そして、目標に対して構えたら、クラブフェースを開くことです。あとは目標に向かって振り抜くだけです。傾斜によって左へ曲がることと、フェースを開いたことで右へ曲がることが相殺されて、ボールは真っすぐ飛んで行きます。

　新井　自分のように、へたな人間がフェースを開くのは、ちょっと違和感がありますね。

　井戸木　最初は怖いかもしれませんが、慣れると違和感なく振れるようになります。ゴルフの幅を広げる意味でも、マスターしておきましょう。

（取材協力＝兵庫・小野東洋ゴルフ倶楽部）

　◆井戸木　鴻樹（いどき・こうき）1961年（昭36）11月2日生まれ、大阪府出身の60歳。豊川中（茨木市）3年時に日本ジュニア優勝。中学卒業後に研修生となり82年プロテスト合格。93年新潟オープンなどツアー2勝。ショットの精度に定評があり、01年以降7度フェアウエーキープ率1位となる。〝元祖日本一曲がらない男〟。13年全米プロシニア選手権で優勝し、日本男子初のメジャー覇者に輝く。

　◆新井　貴浩（あらい・たかひろ）1977年（昭52）1月30日生まれ、広島市出身の45歳。広島工高―駒大を経て98年ドラフト6位で広島入団。05年に43本塁打で本塁打王。08年阪神移籍。11年に93打点で打点王。15年広島復帰。16年に通算2000本安打、通算300本塁打をマークしリーグVに貢献。MVPに輝く。日本代表の侍JAPANでも活躍。18年引退後にゴルフを始めベストスコアは87。

　◆ジミー・常住　本名・常住治臣（つねずみ・はるおみ）1981年（昭56）12月15日生まれ、東京都出身の40歳。日本プロゴルフ協会（PGA）会員。