1日遅れで8日開幕「リーグワン」、本紙記者がキーマンをピックアップ 新リーグの“金の卵”を見逃すな

[ 2022年1月7日 05:30 ]

取材を終え、笑顔を見せる神戸・李承信(撮影・後藤 大輝) 
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 ラグビーの新リーグ「リーグワン」が1日遅れの開幕を迎える。新型コロナウイルスの陽性者が出たことで、7日の東京ベイ―埼玉が中止になったものの、8日には神戸―浦安の“開幕戦”を皮切りに3試合を実施予定。スポニチ本紙ラグビー担当の倉世古洋平は、刷新されたことで高卒選手が増えれば日本代表の底上げにもつながると予測した。チーム数が絞られ熱戦必至の新リーグの“金の卵”に注目を――。

 新リーグの最大の変化は、1部のチーム数が16から12に減ることだ。上位と下位で大きかった戦力差が少し縮まり、一方的なゲームが減る。さらに、上位4チームが海外勢と戦う構想がある。戦力均衡と国際マッチにより、リーグ全体のレベルが上がるだろう。

 各チームは、会社の「部活」から「クラブチーム的」になる。利益を求め、潤った分は選手に還元。プロアマ混在の構成がプロ寄りに傾く可能性がある。

 リーグの魅力が上がれば、大学進学をせずに「リーグワン」を志す選手がもっと増えると考える。実は近年、高卒選手が目立つ。神戸の2年目のバックス、20歳の李は、海外留学のために帝京大を中退したが、コロナ禍で計画が頓挫したことで、地元神戸でプロになった。国内外のトップ選手にもまれて急速に力を付け、8日の開幕戦にCTBで初先発をする。

 BL東京の19歳、ロック・ディアンズは流通経大柏高出身。昨季は1試合も出ていないにもかかわらず、昨年11月のポルトガル戦で、先に日本代表の試合に出場した大物感あふれる珍経歴を持つ。

 埼玉の22歳のフランカー福井は東福岡高2年時に花園を制して騒がれた。日本代表候補にも名を連ねる大型FWだ。御所実高を出た後に海外挑戦をしたBR東京の21歳、FBメインは1年目の昨季、8試合に出場。高い身体能力を発揮した。

 日本は、高校レベルでは世界有数の実力を持つものの、大人になるにつれて列強に追い抜かれる傾向がある。原因は体格の問題もあるが、環境の差もある。海外は、高校卒業後に基本的にプロに身を置く。早くからハイレベルな世界で腕を磨くことで成長が促されるという指摘もある。

 リーグワンでも同じ効果が期待されるが、現状は難しい。野球やサッカーのような2軍戦がなく、高卒で入っても簡単に経験を積めないのだ。若手の実戦の場を設けることが急務。育ち、稼げるリーグになれば、日本代表はもっと強くなる。

 【リーグワン・アラカルト】

 ☆リーグ構成 3ディビジョン制で1部は12チーム、2、3部は6チームで構成。

 ☆対戦方式 1部は各6チームの2リーグに分かれ、同一リーグ内で2回戦総当たりと別のリーグと1回戦の計16試合。今季は5月7、8日が最終節。その後、上位4チームのプレーオフ(5月下旬)を行い初代王者を決める。

 ☆運営形態 ホーム&アウェーの仕組みを取り入れ、チームは本拠地に当たる「ホストエリア」を設定。チーム名に自治体、地域名を入れた。企業名は任意。

 ☆運営のプロ化 日本協会が持っていたチケット販売や試合を運営する興行権は委譲され、収益の責任はホストゲームを開催するチームが負う。

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