アメフト関学大 したたかに、鮮やかに立命大を逆転撃破「本番」は来月5日 大村監督「また考えないと」

[ 2021年11月15日 05:30 ]

関西学生アメリカンフットボール1部リーグ順位決定戦   関学大28―25立命大 ( 2021年11月14日    ヤンマースタジアム長居 )

<関学大・立命大>第4Q、タッチダウンを決めて雄叫びをあげる関学大RB前田(撮影・坂田 高浩)
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 修羅場くぐりの関学大は、逆転されても慌てない。いや、形勢不利になってからが真骨頂だった。第3Q9分58秒に初めてリードを許した直後のシリーズ。自陣28ヤードからのオフェンスで、苦しんでいたRB陣が躍動し始める。斎藤陸(4年)が、池田唯人(2年)がドライブを進め、最後はエース前田公昭(4年)がパスキャッチから27ヤードの逆転TD。続く攻撃でも、ワイルドキャット(QBを置かない陣形)でランナーを右へ左へ走らせ、試合を決定づける一本を奪った。

 「RBがよく頑張った。途中からランナーの攻め方のパターンを変えて…」

 大村和輝監督の言葉が示唆に富んでいた。試合中に課題を見つけるスカウティング力、それを実践できるアジャスト力が宿敵を一枚上回っていたのは間違いない。そして創意工夫の精神も、忘れてはいけない。後半のキーになったワイルドキャットからのランは、選手が考案し、首脳陣がアレンジしたプレー。前田は「コーチから信頼を得ていたので、しっかり結果で応えたかった」と振り返る。

 決戦前日は、4年生だけが神戸市内で前泊。コロナ禍で昨年は見送られた「ルーティン」が復活し、チームが心を一つにした。会場入りして、校歌「空の翼」を密にならないようにスペースを空けて合唱。奮い立たせるだけでは力むのが世の常でも、先頭になって歌う青木主将の独特な?音程に、「一気に雰囲気がリラックスしました」とチームの関係者は明かす。

 2年ぶり58度目の頂点。甲子園ボウル出場を懸けた戦い(12月5日)まで、3週間の猶予を得た。順当なら、決勝の舞台で顔を合わせるのは立命大か、関大か。「こっちも必死。きょうやれることは全てやった。また(プレーや戦術を)考えないと仕方がない」。指揮官はこう話した。いかに学生王者でも、余裕はない。余力も残していない。ただ、苦境になればなるほど強さを発揮するのが、関学大の伝統。それは確かだ。

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