鍵山優真、父の助言で大逆転V 「練習してきたことを頑張るだけ」フリー自己新で17.36点差まくった

[ 2021年11月8日 05:30 ]

フィギュアスケートGPシリーズ第3戦・イタリア大会最終日 ( 2021年11月6日    トリノ )

SP7位から大逆転で優勝を果たした鍵山(ロイター)

 男子で昨季の世界選手権準優勝の鍵山優真(18=オリエンタルバイオ・星槎)が4回転2種3本を決めたフリーで自己ベストの197.49点をマークし、合計278.02点でショートプログラム(SP)7位から大逆転で制した。自身GP2勝目で、海外GP初参戦での頂点。22年北京五輪シーズンの日本勢GP初優勝となった。女子は三原舞依(22=シスメックス)が先週に続いて自己新の合計214.95点で4位だった。

 渾身(こんしん)の演技を終えた鍵山は、何度も右拳を握った。大技ループこそ回避したが、サルコー、トーループの4回転2種3本の構成をミスなく完遂。最後の3回転半を決めると、笑みがこぼれた。「アドレナリンがたくさん出た。何をしたかあまり思い出せない」。等身大の18歳に戻ると照れくさそうに笑った。

 昨季の世界選手権でマークした自己記録を7点近く更新。200点の大台に迫った。SPから17.36点差からの逆転劇は、03年からの現行制度で最大得点差だった。「凄くビックリしている。正直、点数とか結果を気にしていなかった。優勝できたことはうれしく思う」。今大会、古代ローマの剣闘士が題材のフリー「グラディエーター」を力強さが増すように編曲し直した。その曲調に自らを重ね、闘志があふれる演技だった。

 五輪2度出場の父・正和コーチの言葉で吹っ切れた。失意のSPから一夜明けても「心の奥に不安がこびりついていた」。そんな息子を見て、父は昼の公式練習後に助言した。「立場とか成績とか関係なく、ただひたすら練習してきたことを頑張るだけだ」。大事な時は、いつも父が導いてくれる。「立ち直ることができた」という鍵山は、ただ一人の「挑戦者」として目の前の演技に集中できた。

 今季のGP初陣を制し、12月のファイナル(大阪)初出場へ前進。それでも「五輪はSP、フリーともにまとめないと今回のように逆転優勝できない」と足元を見つめる。表彰台を狙う夢舞台へ重要な教訓を得て、2週間後の第5戦フランス杯(グルノーブル)に向かう。(大和 弘明)

 ▽フィギュアスケート北京五輪への道 男女とも出場枠は最大3枠を確保。12月の全日本選手権(埼玉)優勝者が最優先で選出され、全日本やGPファイナルの成績、全日本終了時点での国際スケート連盟公認の今季ベストスコア、世界ランクなどで総合的に残る2人を選ぶ。

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