車いすテニス・上地 リオ超え初決勝!パラ2戦2敗の因縁相手に雪辱「やっと、三度目の正直」

[ 2021年9月3日 05:30 ]

東京パラリンピック第10日 車いすテニス女子シングルス準決勝   〇上地結衣 6-2、6ー2 ファンクート● ( 2021年9月2日    有明テニスの森公園 )

<パラリンピック車いすテニス 女子シングルス準決勝>決勝進出を決め、髪をなびかせながらガッツポーズをする上地(撮影・坂田 高浩)
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 男女のエースが金メダルに王手をかけた。シングルス準決勝が行われ、女子第2シードの上地結衣(27=三井住友銀行)は、第3シードのファンクート(オランダ)を2―0で下し、女子種目で日本勢初の決勝進出を果たした。男子第1シードの国枝慎吾(37=ユニクロ)も第5シードのリード(英国)にストレート勝ち。混合上下肢障がいダブルス3位決定戦では諸石光照(54=EYジャパン)菅野浩二(40=リクルート)組が1日夜から2日未明まで続いた激戦の末、英国ペアを破り、銅メダルを獲得した。

 上地が新たな領域に足を踏み入れた。銅メダルだった16年リオデジャネイロ大会から5年。銀メダル以上を確定させ「勝てたことは純粋にうれしい」と安どの表情を見せた。

 序盤は互角の展開だった。第1セット第4ゲームでは、8回のジュースまでもつれる接戦。「ここで負けていいのか」と気持ちで押し切ってこのゲームを制し、流れを引き寄せた。第1セットを6―2で奪うと、第2セットは2―2から4ゲーム連取した。

 リベンジマッチだった。ファンクートは前回リオ大会の準決勝で敗れた宿敵。12年ロンドン大会でも準々決勝で黒星を喫していた。直近は8連勝中だったが「意識せざるを得ない存在」という因縁の相手に雪辱を果たし「やっと、三度目の正直」と笑顔を見せた。

 勝因は5年分の進化だ。戦術の幅を広げるため、バックのトップスピンを徹底的に磨いてきた。持ち味のチェアワークで機動力を高めるため車いすの車輪は1インチ大きく26インチに変更。こぐ力をつけるために筋力トレーニングを増やし、滑らかな動きに力強さを加えた。

 4大大会シングルスは14年の初優勝から8度制覇を果たすなど、国枝に憧れる新鋭から第一人者に成長。「若く強い女性」の象徴として16年リオでは開閉会式で旗手を務め、今大会の開会式でも聖火台へ点火をする大役を担った。

 「未知の世界」と表現する3日の決勝の相手は、今季の4大大会3戦全勝の世界ランク1位デフロート(オランダ)。「金メダルを一番の目標として、戦っていきたい」。新たな世界を開拓したその先に、黄金の輝きが待っている。

 ◇上地 結衣(かみじ・ゆい)1994年(平6)4月24日生まれ、兵庫県明石市出身の27歳。先天性の潜在性二分脊椎症。11歳で車いす生活となり、ソフトテニスをしていた姉の影響で競技を始めた。14年に初めて世界ランキング1位となり、全仏オープン、全米オープンで優勝。パラは12年ロンドンから3大会連続出場。16年リオデジャネイロではシングルスで銅メダル獲得。1メートル43。

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