【女子マラソン】原田雅彦氏 どんな条件下でも力を出し切れることが準備
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【メダリストは見た 原田雅彦氏】札幌で開催された東京五輪の陸上ロード種目。会場変更、1年延期に加え、レース前日にスタート時間の変更という“アクシデント”もあった女子マラソンは一山麻緒(24=ワコール)の8位入賞が日本勢の最高成績だった。レースを実際に観戦したスキージャンプの原田雅彦氏(53=雪印メグミルクスキー部総監督)はその特異なレースを振り返り、今後の五輪にも思いをはせた。
いや~、驚きの連続でしたね。今回、私は日本オリンピック委員会(JOC)の理事として女子マラソンの応援に行きました。スタートとゴールの大通公園が集合場所。これが、セキュリティー厳し過ぎて着かない。結局、集合時間に遅刻しちゃいました。これまでの五輪の警備はテロ対策という意味が大きかったと思うんですが、今回はそこに新型コロナ対策も加わって、まあ厳しい厳しい。そんな警備下なのに、沿道には人が多くてまたびっくり。仕方ない、そりゃ見たいでしょう。難しい大会運営を垣間見ました。
マラソンを現場で見るのは初めてでした。実はスキージャンプの選手もトレーニングや体重管理のために結構、走るんですよ。でも本職の人たちは違う。速いなんてもんじゃない!自分の住んでいる街だから、モニターで中継見ててもスピード感が伝わってくるんです。「あそこにいたのに、もうここにいるの?」なんてね。こういうシーンに触れることも、本来なら自国、地元開催の醍醐味(だいごみ)の一つなんでしょうね。
日本選手は残念な結果でした。3人とも、悔しさがにじむインタビューでね。代表選考会から逆算してコンディションをつくり、代表になってからは五輪本番から逆算して、万全の準備を重ねてきたのだと思います。それが、会場そのものが変更され、1年の延期。その揚げ句、前夜になってスタート時間まで変わるとは…。自然と闘うスキージャンプ選手は試合時間の変更に慣れているんですが、マラソン選手はどうなのかな?札幌に住んでいる私が言うのもなんですが、今年は気温だけでなく湿度も高い異常気象。かわいそうな部分もありました。
でもね、そんな特異な試合でも、勝者は生まれるんですよ。ジャンプの試合では年間に数回、風がいたずらすることがあるんですが、その条件を生かせた選手が優勝する。そこを含めて強さと言うんじゃないでしょうか。周到な計画も準備。どんな条件下でも力を発揮するようにすることもまた、準備。運も不運ものみ込む力をつけるということも、全てが鍛錬ということかもしれませんね。
今大会、意外な本命が負けて、ダークホースが活躍するシーンが目立つと思いません?これ、無観客の影響もあるように思うんです。指導者も選手も、いろんな条件下で力を発揮できるように準備しているんですが、無観客という条件は、ほぼ未知数。どういう選手が対応できて、どのタイプには悪影響があるのか、分からないことも多かったんじゃないかな、と想像しています。
もう一つ、大会前から気になっていたこと。それはこの大会、運営における役割分担の不透明さです。私が出場した98年長野五輪で、組織委員会という存在を意識したことはほとんどありません。確実に大会を運営してくれる「縁の下の力持ち」とでも言えばいいんでしょうか。ところが今回はどうですか?組織委の存在がクローズアップされただけでなく、国際オリンピック委員会(IOC)やJOC、スポーツ庁に五輪大臣???誰がどんな責任持っているのか分かりにくかったような気がします。そのあたりを明確にしていれば、もっと祝福される大会になったんじゃないかな。今回出た課題をみんなで話し合って改善していければ、30年札幌冬季五輪の招致を考える「期成会」のメンバーとしてうれしいところです。
さて、気がついたら半年後には冬季五輪。この時期、本来なら冬季競技の選手たちもメディアにしっかり取材されている立場なんですけどね、やっぱり夏季五輪の1年延期は特別でしたね。取り巻く環境の難しさはありますが、夏の選手たち同様、冬の選手たちも一生懸命頑張っていますので、応援よろしくお願いします。
◇原田 雅彦(はらだ・まさひこ)1968年(昭43)5月9日生まれ、北海道上川町出身の53歳。北海道・東海大四高(現東海大札幌高)を経て、87年に雪印(当時)入社。スキージャンプ選手として92年アルベールビルから06年トリノまで五輪5大会連続出場。94年リレハンメルで団体銀、98年長野で個人ラージヒル銅、団体金メダル。世界選手権でも計6個のメダルを獲得した。現在は雪印メグミルクスキー部総監督で、全日本スキー連盟理事も務める。
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