桐生、100メートルでの2大会連続五輪逃す…無念も毅然、足の故障言い訳にせず

[ 2021年6月26日 05:30 ]

陸上・日本選手権兼東京五輪代表選考会第2日 ( 2021年6月25日    大阪市・ヤンマースタジアム長居 )

引き揚げる桐生(撮影・北條 貴史)
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 手負いの桐生は100メートルで2大会連続の五輪切符を逃した。10秒28の5位。レース後に足の状態を問われると、丁寧な言葉遣いながら毅然(きぜん)と答えた。

 「今、足の痛みのことを答えてしまうと、そのせいでこの順位になってしまったと思われてしまう。今はお答えできない」

 狙いのレースへ状態をピークに持ってくるのも勝負のうち。ケガを言い訳にしないのは日本人初の9秒台スプリンターが示した意地だった。

 5月半ばに右アキレス腱痛を発症。患部にテーピングをして走った前日の予選、準決勝はゴール後に表情をゆがませ、足を引きずった。「歩くだけでも痛い」。この日、決勝の号砲が鳴ると、6レーンの多田、4レーンの山県の鋭い飛び出しに対し、5レーンで大きく遅れた。「(両サイドの2人に)リードされているというプランを考えていた」。ここまでは想定内。しかし雨に濡れた走路の影響か、持ち味である中盤以降の爆発力は鳴りを潜めたまま。最後まで差は詰まらなかった。

 「100メートルで代表権を獲得できなかったのが今日の結果かなと思います。何ていうんですかね、まあ悔しいっていうのは変ですけど、こういう結果になってしまった以上は今まで東京を目指してきた7~8年間でいろいろあった。いったん一区切りかなと」

 全てが終わったと感じるほど受けたショックは大きい。しかし、400メートルの“リレー侍”として五輪出場もあり得る。TOKYOへの道はまだ閉ざされたわけではない。

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