モデルジャンパー秦澄美鈴が逆転で2度目の日本女王 女子走り幅跳び

[ 2021年6月25日 05:30 ]

陸上・日本選手権 ( 2021年6月24日    大阪市・ヤンマースタジアム長居 )

陸上日本選手権女子走り幅跳びで優勝し、メダルを手に笑顔の秦
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 女子走り幅跳びは、秦澄美鈴(25=シバタ工業)が6メートル40(向かい風1・3メートル)で2年ぶり2度目の優勝を果たした。

 勝負強かった。5回目を先に跳んだ高良が6メートル28をマーク。首位を逆転された直後にすかさず6メートル40を跳び、栄冠を手に入れた。

 「後半になるにつれて向かい風に対応するジャンプができて、立て直すことができた。最初は思うように跳べず、焦りがあった」

 もともとは走り高跳びの選手だった。全国高校総体に出場し、武庫川女大2年の日本学生対校選手権では「高跳び」で2位に入った。しかし、記録が頭打ちになった。

 「ただ跳んでいただけだった。試合になると、助走、走り方、全て違う。そりゃ跳べない。でも、記録がある分、人の話を聞かなくて。頑固になるのが欠点です」

 大学で取り組み始めた走り幅跳びに、徐々に軸足を移していった。社会人になる前の4年冬、新しい指導者に出会ったことが、「幅跳び」での飛躍のきっかけになった。

 「学生の時にこだわっていたことをいったん捨てて、やり始めたのが大きかった。自分で考えてやってきたことを捨てるのが怖くて。うまくいかなかったらどうしよう…って。固い考えでチャレンジできなかった」

 跳躍の指導で有名な大阪・太成学院高校の坂井監督に師事。当時、追い風参考とはいえ6メートル51を跳んだ経験がありながら、「お前は中学生レベルや」という一言を告げられ、目が覚めた。教えを素直に受け入れた。記録はすぐに出て社会人1年目の19年に6メートル45を跳んだ。

 同年に日本選手権も制しながら、助走に課題を抱えていた。踏み切りを合わせようとしすぎて、スピードを弱めていた。「データを見ると、私は100メートル走のスピードの93%しか助走速度が出ていなかった。一般的な人は95~96%だった」。助走を徹底的に見つめ直し、今春6メートル65の自己記録を樹立した。

 所属するシバタ工業のレインブーツのカタログで、イメージガールを務めたことがある“モデルジャンパー”。五輪参加標準記録6メートル82には届かったものの、表彰台の中央でまぶしい笑顔を見せた。

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