若隆景 単独首位の高安破り逆転V圏内へ 新三役昇進に“照準”

[ 2021年3月27日 05:30 ]

大相撲春場所13日目 ( 2021年3月26日    両国国技館 )

高安(右)を寄り倒して4敗を守った若隆景(撮影・郡司 修)
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 平幕・若隆景が小結・高安を熱戦の末に寄り倒し、単独首位の座から引きずり降ろした。4敗を守って、トップと1差。混戦の優勝戦線に名乗りを上げるとともに、新三役昇進を手繰り寄せた。3敗は照ノ富士と高安の2人で、4敗で朝乃山、貴景勝ら5人が並んでいる。

 新旧交代の象徴となるような春風が、幕内後半戦に吹いた。26歳の若隆景は31歳の元大関・高安の出足に防戦一方。3度寄られた土俵際、高安の右腕を手繰った瞬間が反転攻勢の合図だった。

 「我慢できました。とにかく下からという意識で攻められたのは良かった」

 右差しから一気に出た。体勢を崩した高安が小手投げにきたが、そのまま体を預けて寄り倒し。物言いはつかず、投げ飛ばされた土俵下から起き上がったその表情に手応えがにじんだ。

 西前頭2枚目での9勝目。新三役への権利は手中にした。「そういう気持ちも持ちながら(残り2日間)やりたい」。母方の祖父が双葉山の道場で鍛えた元小結・若葉山。父が元幕下・若信夫、さらに兄2人が幕下・若隆元、十両・若元春という相撲一家。誕生時、すでに祖父は体調を崩していたため直接教わる機会はなかったが、「幼い頃からこういう相撲なんで」と耐えてつかんだ1勝に胸を張った。

 福島市出身。東日本大震災から10年、3月11日を初めて幕内で迎えた。震災発生時、母校・学法福島高の土俵が壊れたため、1カ月避難生活を送ったのが現在所属する荒汐部屋。父・大波政志さんは「活躍することで地元にも喜んでもらえると思っている」と胸中を代弁する。

 昨年末、若隆景は新型コロナウイルスに感染し、初場所を休場した。「出られなかった分までという気持ちはある」。そして先月、第4子となる女児が誕生した。賜杯レースには「意識はない」と語るが、多くの発奮材料を胸に、26歳は残り2日間の土俵に立つ。

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2021年3月27日のニュース