千代の国 勢い止まらず6連勝 大ケガ乗り越え106年ぶり快挙へ「一日一番 それに集中しているだけ」

[ 2020年11月14日 05:30 ]

大相撲11月場所6日目 ( 2020年11月13日    東京・両国国技館 )

炎鵬(下)を叩き込みで破る千代の国(撮影・郡司 修)
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 再入幕の千代の国の勢いが止まらない。初対戦の炎鵬を危なげなくはたき込みで退け、無傷の6連勝とした。2場所前は幕下だったが、先場所は十両を14勝1敗で制して9場所ぶりに幕内に復帰。右肩に負傷を抱えながらも快進撃を続けている。一人大関の貴景勝、小結・照ノ富士も勝ち、全勝は3人。1敗は平幕の宝富士、竜電、初黒星を喫した志摩ノ海の3人となった。

 好調の千代の国は落ち着いていた。炎鵬が突っ込んできたところをもろ手で止め、すぐにはたいた。相手がバランスを崩すと、上から押しつぶすように倒した。「焦らずに見ていこうと思った」。初顔の相手をイメージ通りに料理した。

 苦難を乗り越え、たくましくなった。昨年初場所で左膝複合じん帯損傷の重傷を負い、そこから4場所連続休場を強いられた。番付は幕下下位まで落ちたが「つらいことはあったが、やめようと思ったことはない。いろんな人たちに支えられたから頑張れた」と前を向いてきた。「膝は治すばかりではなく鍛えることも大事」。先代師匠の故九重親方(元横綱・千代の富士)が現役時代、両肩の脱臼癖を筋肉をつけて克服したように、昨年8月の夏合宿では若い衆より1時間早く稽古場に下りて四股を踏み続けた。地道な努力で番付を戻し、輝きを取り戻した。

 今年は初場所で徳勝龍、7月場所で照ノ富士が幕尻優勝を成し遂げたが、ともに再入幕だった。千代の国も9場所ぶりの幕内復帰。2横綱2大関が休場する波乱含みの場所で、千代の国にもチャンスがあると言える。秋場所は十両優勝を飾っており、十両と幕内の連続優勝となれば、1914年(大3)夏場所で新入幕優勝を飾った両国以来106年ぶり。2場所前が幕下だった力士の優勝となれば史上初めてとなる。

 6連勝と自己最高をさらに更新しても「特に何も」と気持ちの高ぶりはない。「一日一番しか取れないので、それに集中してやっているだけ」。地獄からはい上がってきた苦労人は、現状に満足することなく戦っている。 (佐藤 博之)

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2020年11月14日のニュース