大坂、準々決勝突破のち棄権「アスリートである前に黒人女性です」 黒人男性銃撃事件へ“抗議”示す

[ 2020年8月28日 05:30 ]

テニス ウエスタン・アンド・サザン・オープン第5日 女子シングルス準々決勝   大坂2―1コンタベイト ( 2020年8月26日    米ニューヨーク ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター )

準々決勝で勝利し、引き揚げる大坂。黒人男性銃撃事件に抗議し準決勝を棄権することを明らかにした(AP)
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 女子シングルスで4強入りした世界ランキング10位の大坂なおみ(22=日清食品)が、同22位のエリーズ・メルテンス(24=ベルギー)との準決勝を棄権することを決めた。黒人男性銃撃事件への抗議が目的で、準々決勝でアネット・コンタベイト(24=エストニア)に逆転勝利後、自身のSNSで表明。大会主催者も人種差別への抗議を示すため、27日は試合を実施せず、28日に再開すると発表した。

 準々決勝の逆転劇から約5時間後、大坂が自身のSNSで世界を震撼(しんかん)させる決断を表明した。英語と日本語で「私は明日の準決勝で試合をする予定でした。しかし、私はアスリートである前に、黒人女性です」とし、準決勝の棄権を発表。「大多数の白人スポーツの中で会話を始めることができれば、正しい方向への一歩だと思います」と意図を示した上で「黒人に起こった権利剥奪、全身性人種差別、その他の数え切れないほどの怪物は、私の胃を病気にさせます(英語で“吐き気がする”の意)」と続けた。

 米国では5月にミネソタ州で黒人男性が白人警官に首を圧迫されて死亡する事件が起き「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」の抗議デモが拡大した。大坂は事件後にミネソタ州でのデモに参加。SNSでも人種差別の撤廃を訴えてきた。自身も差別的対応を受けた経験があり、コロナ禍のツアー中断により問題に積極的に取り組むようになった。アスリートは競技に集中すべきとの意見に対し「そのロジックならIKEAの従業員は家具の話しか許されない」と反論したこともあった。

 コート内では集中していた。コンタベイトとの準々決勝は第1セットを落とし、第2セットも先にブレークを許したが、第3ゲームから圧巻の9ゲーム連取で逆転。恋人でラッパーのYBNコーデーの23歳の誕生日に白星を贈った。試合前にはSNSで「23歳おめでとう。愛してます」と発信。試合前後のメッセージの温度差が、ボイコットの衝撃を増幅させた。

 大坂の意思表明後、大会主催者も人種差別への抗議を示すため、27日は試合を実施せず、28日に再開すると発表した。大リーグ、NBAなど米スポーツ界で試合延期が相次ぐ中、大坂がテニス界の先頭に立ち、人種差別と戦う覚悟を示した。

 ▽米黒人男性銃撃事件 ウィスコンシン州ケノーシャで23日、黒人男性ジェーコブ・ブレークさん(29)が車に乗り込もうとした際に警官に背後から銃撃され、下半身まひとなった。警官は至近距離から7回発砲。「家庭内トラブル」の通報を受け対応に当たっていたとされる。車にはブレークさんの3人の子供が乗っており、目の前で銃撃。様子を捉えた動画がSNSで拡散され、警官への批判が噴出して抗議デモの一部が暴徒化。同州は25日、非常事態を宣言した。

 《テニス界から共感の声》大坂の決断を受け、周囲のテニス選手も共感を示した。17年全米女王のスティーブンス(米国)は大坂の棄権宣言をリツイートし「もっと大きな声で!あなたを誇りに思う」とメッセージを添えた。ウエスタン・アンド・サザン・オープンの男子シングルスで4強に入ったラオニッチ(カナダ)も男女両ツアーの結束を訴え「NBAのように、我々も一体となって不公平な扱いを受ける人々を支える姿勢を示すべき」と語った。

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