データで見る八村の第45戦 多すぎた「右」への動き 足りない逆サイドの「相互協力」

[ 2020年8月6日 09:34 ]

第2Q、ホーフォードにゴール下のシュートを阻止される八村(AP)
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 76ers戦の第3Q3分すぎ。左サイドでイサック・ボンガ(20)からボールをもらった八村塁(22)は、208センチのポイントガードで2017年シーズンに新人王となったベン・シモンズ(24)との1対1に挑んだ。シモンズを背にして少し押し込んだあと、ペイント内を右方向に移動。リングから遠ざかる形で右手でボールをリリースしたが、フックシュートになり切れない“未完成”の一投はリングに嫌われた。

 八村はこの日、フィールドゴール(FG)を11本試みているが(成功2本)自分でボールを動かし始めたプレーは9回。そのうち2回は直線方向に突っ込んでいずれもゴール下でシュートをブロックされた。そして残り7回のうち6回は正対して右に動くか、体を時計の針とは逆の右(左回り)にターンさせてのプレーだった。

 “皆無”だったものがある。それは例えばローポストでボールをもらった場合、マッチアップしている選手を背にして「相手を巻く」というプレーだ。198センチとパワーフォワードとしては小柄だったチャールズ・バークリー(元76ere→サンズ→ロケッツ)の現役時代の得意技でもある。相手と正対することも大切だが、背にしてからのひと仕事も得点を増やすためには不可欠。76ers戦に限ったわけではなく、八村にはまだこのローポストからのオフェンス・バリエーションが少ない(ルーキーなので無理もないのだが…)。

 正対しても、背に置かれても八村から見て「右」に動いてくるケースが多いので、守る側からするとコースを読みやすい。76ersは八村がペイント内にもぐりこんで来ると、すでに“二の矢”と“三の矢”となる選手が待ち構えていたが、おそらく現時点でチームトップの得点を挙げているルーキーの情報はふんだんに与えられていたように思う。

 ウィザーズのオフェンスはボールを保持している選手の逆サイドで他の選手による相互協力による“モーション”がない。これはウィザーズだけではないのだが、トライアングル・オフェンスを駆使してファイナルを6度制したかつてのブルズとは様相を異にしている。

 リーグ2位の30・5得点をマークしているブラドリー・ビール(27)がいるならば、彼にスペースを与えて攻めさせるのでシンプルな方が効果的だろう。しかし今のウィザーズは個々の能力だけでは勝てない。八村だけでなく逆サイドにいる選手は、インサイドからキックアウトされるボールを待っているか、もしくは単独で中に飛び込むカッターとしての役割を担っているように見えるが、悪く言えば工夫が少し足りない。

 例えばステフィン・カリー(32)とクレイ・トンプソン(30)といったシューターをそろえるウォリアーズは、この2人にドレイモンド・グリーン(30)を加えた3人で、ボールとは逆サイドでスクリーンを掛け合って誰か1人をフリーにするという“ひと仕事”を行ってから「キャッチ&シュート」に持ち込む場面が見受けられる。1本のシュート・チャンスを生み出すための“モーション”をどう作り上げるのか?その解決策を見つけるのはスコット・ブルックス監督(55)の役目だが、ここまで負けがこんでしまったのならば、オンコートにいる選手たちのアイコンタクトによる連携があってもいいのではないだろうか…。

 「シーディング・ゲーム」はあと4試合。せっかくオーランドでまだ試合ができるのだから、ぜひとも何かをつかんでほしい。いままでやっていなかったことにトライする時期でもある。7日の次戦はドラフト全体トップで指名されたザイオン・ウィリアムソン(20)のいるペリカンズ戦。「左」に動き、同期のライバルを背にしてくるりと回ってリングに接近する八村の姿を見てみたいと思う。(高柳 昌弥) 

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