5連勝の照強“鎮魂”の土俵へ 「1・17」震災当日淡路島生まれ「うれしいだけじゃ過ごせない誕生日」

[ 2020年1月17日 05:30 ]

大相撲初場所5日目 ( 2020年1月16日    両国国技館 )

豪快に塩をまく照強(撮影・沢田 明徳)
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 平幕・照強が初日からの連勝を5に伸ばした。17日で25年を迎える阪神・淡路大震災の震源・淡路島で発生当日に誕生した。1月17日に幕内の土俵に立つという、2010年春場所初土俵以来の目標達成を前にここ4年連続、初優勝力士が賜杯を抱いてきた「荒れる初場所」の主役をにらんでいる。同じく全勝は正代、輝の3人になった。

 念願の舞台を前に、らしさを発揮した。体重120キロの照強が71キロ重い千代丸を土俵下まで投げ飛ばした。1月17日、幕内の土俵に立つ夢を10年がかり、しかも勝ちっ放しで達成する。

 「ちっちゃいんで何でも思い切ってやらないと相手も食わない。前へ圧力をかけてきたんであれしかなかった」

 もろ手突きが強い千代丸対策に、立ち合いで潜った。狙い通りもろ差しに成功し、さらには右を深く差し込む。一度は差した左を抜いて体を開き、相手出足を利しての右下手投げを決めた。

 「うれしいだけじゃ過ごせない誕生日です」。震災当日、淡路島で生まれた宿命をそう表現した。無邪気に自分のことだけを祝えない、鎮魂の祈りの中で迎える特別な1日。だから新入幕の昨年春場所以来、幕内を守ることに価値を見出す。

 「十両だとテレビで映らない取組もある。淡路島の人だけじゃなく、みんなに見てもらえればうれしい」。あれから25年。記憶の風化が指摘される中、幕内で取る自らの存在がその歯止めになればとの願いを土俵上で体現する。

 「荒れる春場所」ならぬ「荒れる初場所」。16年の琴奨菊、17年稀勢の里、一昨年栃ノ心、昨年玉鷲。ここ4年の優勝力士はいずれも未経験者だった。「まだ10日間ある。勝ち越してもないので」。そう笑い飛ばすが、初日からの5連勝は12勝した昨年名古屋場所以来と数字は可能性を物語る。

 毎年午前5時46分の発生時刻には自室で黙とうしてきた。普段より1時間半起床を早め、その時を待ってきた。場所中は夜に出歩かず疲労回復に努め、深夜12時には布団に入る。今年も静かな気持ちで迎え、6日目の土俵に向かう。

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