「やっぱり」強いぞ青学大 新記録で3年ぶり往路V!岸本、花の2区日本人1年生最速更新

[ 2020年1月3日 05:30 ]

第96回東京箱根間往復大学駅伝・往路 ( 2020年1月2日    東京・大手町~神奈川・箱根町、107・5キロ )

戸塚中継所、トップでたすきを繋ぐ青学大・岸本(左)(撮影・会津 智海)
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 青学大が5時間21分16秒で3年ぶり4度目の往路優勝を決めた。昨年、東洋大がマークした5時間26分31秒を5分以上更新する往路新記録を達成。2区(23・1キロ)に起用された岸本大紀(1年)が2区の日本人1年生新記録となる1時間7分3秒でトップに躍り出ると、4区、5区と連続区間新記録の快走でリードを守り切った。3日の復路では、1920年の第1回大会から100年の節目の大会で2年ぶり5度目の総合優勝を狙う。

 弱い弱いと言われながらも“やっぱり”青学大は強かった。出雲5位、全日本で2位と敗れ、無冠も覚悟して臨んだ箱根路。毎年恒例となった作戦名「やっぱり大作戦」が成功し、してやったりの原晋監督は「総合優勝が一番だが、復路より往路の方が多くの人に祝福されてうれしい」と芦ノ湖に集まったファンの前でガッツポーズした。

 「ぴたっとはまった」と自賛するほど采配がずばり当たった。ユニバーシアードハーフマラソン金メダルの東洋大エースの相沢や、留学生選手も走る「花の2区」に就任以来初めて1年生を起用。「3代目山の神」と呼ばれたOBの神野大地(セルソース)らと比較しても「歴代1位」と指揮官が太鼓判を押すその岸本は、首位と18秒差でたすきを受けると、すぐに先頭集団に加わった。残り1キロで集団から抜け出すと、そのまま独走。スーパールーキーは「往路優勝、総合優勝への流れができた」と涼しい顔で振り返った。

 原監督の必勝法「青山メソッド」から外れた異質な選手だ。昨年12月19日に左足小指付近を痛め、3日間走らずにポイント練習(強度の高い練習)を回避した。原監督によると、12月にポイント練習をしていない選手は活躍しないというデータがある。昨年往路で3区区間新記録をマークした森田歩希(GMO)ですら直前の故障を理由にエース区間を外したが、原監督は「1年間練習が積めていた岸本の潜在能力を買って起用した。期待に応えてくれました」と称賛した。

 岸本は中学時代に箱根駅伝で活躍する青学大に憧れて入学した。「強いし、選手が輝いていた」と振り返る。「大学卒業後は陸上を続けるか分からない」と語るドライな性格だが、2区で活躍したことで憧れの青学大エース候補に名乗りを上げ「チームを引っ張る走りをしていきたい」と意識も変化してきた。

 岸本の活躍と当日変更で起用した4区吉田祐の区間新の快走もあり、ライバル視している東海大と3分22秒の大差をつけて折り返した。原監督は「総合優勝してこそ“やっぱり大作戦”は成功。気を引き締めてもう一日、フィニッシュまでいきたい」と復路に向け表情を引き締めた。

 ◆岸本 大紀(きしもと・ひろのり)2000年(平12)10月7日生まれ、新潟県出身の19歳。小学2年から陸上競技を始めた。過去には野球と水泳を経験。出雲駅伝2区区間賞、全日本大学駅伝2区区間5位。1メートル72、51キロ。4

 ▽青山メソッド 原監督が導入したコアトレーニング「青トレ」に加え、1年を4季に分けてタイムをデータに落とし込み、過去の記録を可視化するなどした独自の指導法。優勝時の記録と比較することで現状把握などにつなげる。

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