【岡崎真の目】貪欲に得点稼いだ羽生 昨季と同じ曲同じプログラムで進化

[ 2019年10月28日 05:31 ]

フィギュアスケートGPシリーズ第2戦  スケートカナダ最終日 ( 2019年10月27日    カナダ・ケロウナ )

演伎中、ファンの間で話題だった弓引きポーズを見せる羽生(撮影・長久保 豊)
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 羽生の冒頭の4回転ループは踏み込んだ時に上半身が前に倒れたような形になり、そのまま空中姿勢も前傾した感じになってしまった。着氷はしたもののオーバーターンでGOE(出来栄え評価)がマイナスとなったが、減点は最小限でとどまった。前日のSPの時と同じで、元々のジャンプの質が高く、今回のように軽度なエラーであればプラス3や4というところから引くこともできるので、ミスをしても十分得点につながっている。

 最後のトリプルアクセル―2回転トーループの連続ジャンプも少し乱れたが、持ち前のボディーバランスで難なくGOEをプラスに持っていった。多少乱れたのはこの2つぐらいで、あとは完璧だった。

 昨季と同じ曲で同じプログラムとはいえ、進化は著しい。4回転トーループからの3連続ジャンプも、サードジャンプをいつもの3回転サルコーからより難度の高いフリップに変えてきた。その分基礎点もアップしている。後半の3つのジャンプが全てコンビネーションというのも得点アップにつながるし、貪欲に点を稼ぎにきているようにみえる。

 ステップも昨季はボディーの動きが少なめで、レベルを取るのにどうかなという印象があったが、今季は凄くブラッシュアップされて対策が練られている。やはり2シーズン目だけのことはあるなと感じた。

 フィギュアは自分との戦いが基本とはいえ、絶対王者でいたいと考えた時に越えなくてはならない最大の難関は、やはり世界選手権で敗れたネーサン・チェンだ。チェンに追いつき追い越すためにはどうすればいいのか。目標が明確になったことで集中力もより高まっているのが今の羽生だろう。体の動きもジャンプの切れも良いので、あとは体調管理にさえ気をつければ今季は互角以上の勝負が期待できそうだ。 (ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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