ラグビー日本代表 首脳陣とリーダー陣で議論重ねチーム作り

[ 2019年10月24日 09:30 ]

ONE TEAMの4年間(3)

ジョセフHC(左)と流(中央)らリーダー陣が中心となりチームをつくり上げた(撮影・吉田 剛)
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 ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC、49=ニュージーランド)はチームづくりでもニュージーランド式を導入した。日本で一般的な「主将、副主将」が引っ張るチーム運営は、今の日本代表にない。各ポジションに置かれた10人規模のリーダー陣が、戦術の落とし込み、約束事など、チームの骨格をつくった。

 18年9月、2泊3日の和歌山合宿はホテルにいる間、ほぼミーティング漬け。リーダー主導で「ジャパンはどうあるべきか」などを話し合った。各リーダーをボスとする小グループで、毎週水曜日には食事に出掛けた。ポジションも、出身国もごちゃ混ぜにした構成で、7カ国にルーツを持つ選手が意思疎通を図った。合宿先でのファン交流やラグビー教室は、リーダー陣の発案で生まれた。

 首脳陣と衝突もした。リーダーの一人、SH流は振り返る。「ジェイミーからリーダー陣に対して厳しい指摘もある。“君たちの準備が足りない”と。ぶつかったことはたくさんある」。練習に臨むムードづくり、戦術の理解はできているか――。より良い組織を目指し、コーチ陣とリーダー陣が議論を重ねた。

 リーダー制の成果は、1次リーグのアイルランド戦とサモア戦で表れた。ラブスカフニがゲーム主将を務め、調子が上がらなかったリーチ主将をプレーに集中させた。ジョセフHCは「それぞれが貢献できる文化をつくってきた」と語り、主将だけに頼らない取り組みが実を結んだと胸を張った。

 エディー・ジョーンズHC体制だった15年当時は、あらゆることが上からの指令で決まった。戦術面でも制約が多かった。1次リーグ3勝を挙げた前回大会を「トップダウン型」とするなら、今回は選手主導の「ビルドアップ型」。180度異なるスタイルでの好成績は、日本ラグビー界の成長を示している。No・8姫野や流ら、リーダーを務めたメンバーが、23年フランス大会も中心を担う。

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2019年10月24日のニュース