【北原憲彦氏 観戦記】やっと立てた“世界”のスタートライン

[ 2019年9月10日 05:30 ]

バスケW杯 順位決定リーグ   日本65―80モンテネグロ ( 2019年9月9日    東莞 )

元日本代表の北原憲彦氏
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 今大会は日本に対する期待値が大きすぎた。渡辺がNBAデビューし、八村がNBAドラフト1巡目指名された。そして自力でつかんだW杯を迎えた。そのチームの全敗はファンにとってショックかもしれないが、上々なスタートと言えると思う。例えば19点差で負けた初戦のトルコには複数のNBA選手がいて、ユーロリーグで活躍する選手がいた。以前の日本であれば手も足も出ずに30~50点差をつけられたと思う。

 私は1976年モントリオール五輪に出場した。あの頃はとにかく五輪に出ることが目標だった。本大会では不戦勝のエジプト戦を除けば全敗。大学生だった私にとっては先輩方に連れて行ってもらった大会で、次は自分が中心になって、五輪で1勝したいと思った。しかし、私は代表に15年いて、7年主将を務めたが、その後はIOC(国際オリンピック委員会)に復帰した中国に勝てず、日本も五輪から遠ざかった。世界のバスケットはNBAが92年バルセロナ五輪に参加して以来グローバル化が進んだが、日本は世界から取り残された。

 その日本がサッカーに倣って育成や強化に力を入れて、ようやく世界基準のスタートラインに立ったのが今大会。プロのBリーグができて3年、短期間でよくここまできたなというのが正直な感想だ。世界のトップとは全てが違った。シュート力、スピード、フィジカル、ドリブルやパス、スクリーンの使い方、チーム戦術。世界基準を体感し、見つけた課題を東京五輪につなげていけばいいと思う。 (元日本代表、江戸川大教授)

 ◆北原 憲彦(きたはら・のりひこ)1954年(昭29)12月11日生まれ、長野県出身の64歳。明大時代に76年モントリオール五輪に出場。2メートルのセンターとして日本リーグの日本鋼管で活躍した。女子日本代表監督などを歴任し、現在は江戸川大学アスリートセンター長。

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