【小椋久美子の目】女子ダブルス日本勢4組が頂点狙える!19日開幕バドミントン世界選手権

[ 2019年8月19日 08:15 ]

会見で記念撮影する女子ダブルスの松本(前列中央)と同シングルスの奥原(後列左端)
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 バドミントン世界選手権は19日にスイス・バーゼルで開幕する。メダルラッシュが期待される東京五輪を占う前年の天王山。07年大会女子ダブルス銅メダリストでスポニチ本紙評論家の小椋久美子氏(36)が、日本勢の活躍を予想した。

 その年の「世界王者」という称号を得られる重要な大会が世界選手権。長いツアーの中でも全選手が照準を合わせる大会で、優勝者のみに各種目8人(組)が出場する12月のツアーファイナルズ(中国)出場権が与えられる。五輪選考レースを踏まえれば、実力伯仲の女子ダブルス勢にとって重要なポイントとなる。

 昨年優勝の永原、松本組は完全に五輪レースを意識し、本気になっている。背負う思いを降ろし、今まで通りのプレーができるか。彼女たちのよさは角度があるショットを中心とした攻撃。その攻撃力をキープし、スピーディーな展開に持っていきたい。昨年2位の福島、広田組はジャパン・オープンで中国ペアに敗退。タイ・オープンでは韓国ペアに敗れ、アタック力がある相手に少し苦戦している。本来は守備力に定評があるペアだが、攻撃を受けすぎているため自分たちの展開に持って行けていない。敗れた2戦から、どう修正できるか。

 高橋、松友組は好不調の波がない。試合中に戦い方を切り替えられ、どんなタイプにもうまく対応ができる。世界選手権はなかなか勝てていないが、経験値もあるだけに相手の出方というより自分たち次第だと思う。昨年3位の米元、田中組も、有力選手がそろった直近のタイ・オープンで優勝。日本勢の全4組が優勝を狙える位置にいる。

 男子シングルスは、桃田選手の優勝が堅い。研究されている苦しさもあるが、癖を読まれている逆を突く意識が見える。研究されている上を行こうとしている。今大会は3回戦で経験値の高い北京、ロンドン五輪金メダリスト林丹、桃田選手もマークしているスピーディーな攻撃を得意とするインドネシア勢との対戦が予想される。桃田選手自身は攻守にバランスが取れ、ラリー戦が持ち味だが、早い時間で勝ちきって疲れをためないことが、終盤、勝負どころでもう一段階、ギアを上げるために重要となる。

 女子シングルスは順当なら山口、奥原の両選手が準決勝で当たる。山口選手は動くスピードと読みがよく、世界で一番パフォーマンスがいい。思い通りの球を自在に打っている。苦しい時にもつないでチャンスをうかがう忍耐強さも感じる。世界選手権を獲ったことがない重圧を感じなければ優勝が見えてくる。奥原選手は冷静沈着で堂々とプレーすることが、相手にとって嫌。穴がなく、どしっと構えているのが強み。最近は攻撃をつくる球出し、誘い玉を使っている。攻撃的な守備がハマれば、テンポを上げた試合になる。

 男子ダブルスは、インドネシア勢を中心とした激戦区。園田、嘉村組は持ち味のテンポ感を引き寄せられるか。遠藤、渡辺組はネットプレーだけでなく大きな展開と粘り強いレシーブが魅力。保木、小林組は五輪レース開始後に順調に勝利を積み重ねている。日本勢が順当に勝ち進めば園田、嘉村組と保木、小林組が準々決勝で対戦し、勝者が準決勝で遠藤、渡辺組と当たり、日本ペア同士のつぶし合いとなる。複合ダブルスは、なかなか崩れない中国勢の2組が最大の壁となる。渡辺、東野組を中心にメダルに食い込めるか注目したい。(08年北京五輪女子ダブルス代表)

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