紀平梨花と91歳「元祖トリプルアクセル」 新旧2人にある深い“つながり”

[ 2019年4月16日 09:00 ]

国別対抗戦女子SPで会心の演技を見せた紀平
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 フィギュアスケートの2018―19シーズンが、14日までの世界国別対抗戦で幕を閉じた。女子の紀平梨花(16=関大KFSC)はGPファイナルを制するなど、シニアデビューシーズンに華々しい成績を収めた。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の基礎を教えた日本スケート界のレジェンドコーチ、山下艶子さん(91)に大技の原点を聞いた。「元祖トリプルアクセル」との共通点が浮かび上がった。

 3回転半の道は、半回転からだった。山下さんは紀平の小1から小5までを指導。アクセルジャンプの基礎を教えた。前向きに跳んで、180度回って、後ろ向きに降りる。この単純な動きを、氷上で繰り返しさせた。

 「アクセルジャンプは前向きに跳んで後ろ向きに降りるでしょ。最初の半回転をしっかり教えないと。体の軸、右足の使い方、氷の押し方を覚えます。それができないと、3回転もできません」

 長女の一美さんをはじめとした五輪選手を何人も育てた。日本スケート界のレジェンドコーチは、92年アルベールビル五輪銀の伊藤みどりさんも中学からの5年間、週末に指導した。「半回転」も教えた。新旧2人のトリプルアクセルジャンパーは、「基本」で深くつながっていた。

 小さい頃から前向きな性格だったという。

 「梨花ちゃんは、ものすごいコケ方をしても平気なんです。砂場にいるような感じでスカートに付いた氷をパッパッて、はたくだけ。痛いはずなのに、すぐに次のジャンプを跳ぶ。だから他の子より上手になったんです」

 世界国別対抗戦は、兵庫県西宮市内の自宅でテレビ観戦した。失敗したトリプルアクセルのフォームの狂いを感じ取っていた。

 「左の腰がね、シーズンの最初はしっかりしていたけど、フラフラしていました」

 ケガをしたため、現在は指導の現場から離れている。81歳から5年間教えた“最後の愛弟子”へ「梨花ちゃんはできる子だから、今の活躍も特に凄いと思っていません。4回転を跳んでほしいです」とエール。世界一を信じている。

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2019年4月16日のニュース