アン・ソンジュ最速10億円突破「人間のすることじゃない」重圧に勝った

[ 2018年10月22日 05:30 ]

女子ゴルフツアー NOBUTA GROUP マスターズGCレディース最終日 ( 2018年10月21日    兵庫県 マスターズGC=6528ヤード、パー72 )

18番、激戦の松田鈴英と抱き合うアンソンジュ(左)(撮影・井垣 忠夫)
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 2位と5打差の首位から出たアン・ソンジュ(31=韓国)が、2バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの74と苦しみながらも通算12アンダーで逃げ切り、今季5勝目、通算28勝目を手にした。優勝賞金3240万円が加算され、不動裕理の275試合目を抜く、ツアー史上最速の226試合目での生涯獲得賞金10億円突破。賞金女王レースでも一歩リードする形となった。

 苦しんで、苦しんでつかんだ今季5勝目。アン・ソンジュはホールアウト後、同郷の後輩キム・ハヌルから祝福のハグをされると涙をこらえきれなかった。

 「前半は自分の思ったゴルフができず、つらい思いがあって涙が出ました。いつでも優勝するのは大変なことだけど、今回は“人間のすることじゃない”ってくらい大変でした」

 2位を5打リードしてスタート。しかし、3日目まで1ボギーのアンとは別人のような内容だった。7番で2メートル強のパーパットを外すと、9番ではグリーン左のバンカーにつかまりダブルボギー。前半を4オーバーで折り返した。

 2位の松田と1打差となり、「後悔だけはしないゴルフを」と切り替えた。後半は2アンダーと盛り返し、逃げ切った。74のスコアに「ショック」というが、苦しみながらも大崩れはしなかった。

 前週の富士通レディース。最終18番で1メートルのパーパットを外し、優勝を逃して号泣した。前夜に、そのシーンがよみがえってきた。午前3時まで眠れず、朝起きても食事が喉を通らない。「食べるのが大好きな私なのに、入らなかった」と明かした。そんなプレッシャーをはねのけての優勝。「私にとって大きなヤマだった」。表情に自信が戻った。

 この勝利で通算28勝目となり、永久シードまであと2勝。賞金女王レースも一歩リードした。生涯獲得賞金は10億円を突破し、不動裕理を抜く226試合目でのツアー最速記録を樹立。それでも、満足感はみじんもない。「自分を褒めてあげたいけど、今日のプレーだと褒められないし、練習しないと」。ここに、3度賞金女王に輝いたアンの強さがある。

 《松田「経験不足」後半失速4位》 松田は一時首位に1打差まで迫るが、16番でアプローチをミスしてボギー。17番では第1打を左に曲げダブルボギーを叩いて4位に終わった。「後半は経験不足で落とす形になった。緊張もあって」と涙を流して悔しがった。それでも賞金900万円を上積み、ランクは前週の25位から4544万円の15位まで浮上した。「(最終戦に)出るのが目標だったのでこの経験を生かして頑張りたい。優勝して最終戦に行きたいです」と決意を新たにした。

 《ホステスプロ・ハヌル 追い上げ今季最高2位》 ホステスプロのキム・ハヌルが69と追い上げ今季自己最高の2位でフィニッシュした。「ホステスプロになって、今年一番いい成績が出せて、めっちゃうれしいです」。大会前までの獲得賞金は2080万円でランク48位と伸び悩んでいたが、1584万円を獲得して3664万円とし、28位にジャンプアップ。4年連続の賞金シードも確定させ「自信も復活しました」と喜んだ。

《愛、逆転優勝望み》 昨季の賞金女王、鈴木は1、2番の連続バーディーなど前半は3つ伸ばしたが、後半はパープレー。それでも18番のバーディーで4位まで浮上し「賞金が多い大会なので最後取れたのは大きい。あれが今後につながるかも」と前向きに捉えた。優勝したアン・ソンジュとの差は約1500万円から、約3900万円と広がったが、「残り5試合。絶対に巻き返して頑張ります」と、逆転女王を諦めていなかった。

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