卓球界を盛り上げ、次世代に夢を与え…全てを背負ってくれた愛ちゃんに感謝

[ 2018年10月22日 08:20 ]

鉄さくに飛びつき、やんちゃぶりを発揮する幼稚園時代の福原愛=93年12月
Photo By スポニチ

 仙台支局勤務時代の1993年、山のような競技記録のファクスの中から当時の支局長が見つけた不思議な成績。小学生学年別卓球大会の3年生以下の部で幼稚園児が準優勝していた。「何かの間違い?」。スポニチと愛ちゃんの出会いは日曜夕方のそんな疑問から始まった。

 すぐに宮城県卓球協会に問い合わせると、小学生を倒す凄い子が出てきたという。翌日、自宅に先輩記者とお邪魔すると髪をおさげに結んだセーラー服姿の可愛らしい子がはしゃいでいた。

「おなかすいちゃった」。好物のメロンを食べながらラケットを握った。 

 この時、愛ちゃんは4歳。仙台の高級住宅街にあった自宅の並びにはもう1軒、20畳ほどのリビングに卓球台が置かれた専用練習場があった。

 まだ小さくて卓球台に姿が隠れてしまうから正面から何度シャッターを切ってもうまく顔が写らなかった。仕方なく横から撮影を始めると母・千代さん相手に1000本ラリーが始まった。

 失敗すると涙を浮かべ、一からやり直す。それまでの可愛いらしかった姿は負けず嫌いの強気のスポーツ少女に変わっていた。

 正月企画では七五三の晴れ着姿も撮らせてもらった。笑顔と泣き顔のギャップがなんともいえなかった。子供の頃から世間に注目されてきた重圧をはねのけ五輪で連続メダルを獲った時は涙が出た。結婚と聞かされたときは娘を取られた感じがした。そして引退――。日本の卓球界を盛り上げ、歴史を変え、次世代の選手たちに夢を与えたばかりか、被災地にも勇気を与えてくれた愛ちゃん。全てを背負ってくれてありがとう。 (写真部デスク 高橋雄二)

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