大貴 膝の痛みに耐え「ようやくメダル獲れた、最高です」

[ 2014年2月19日 05:30 ]

銅メダル獲得に笑顔の伊東

ソチ五輪ジャンプ男子団体 日本銅メダル

(2月17日)
 自然と涙があふれた。伊東にとってはエース格として臨むはずだったソチ五輪。「いろんなことがあったけど、ようやくメダルが獲れた。最高です」。

 2季前にW杯4勝を挙げ、個人総合で自己最高の4位に入った。だが、昨季に右膝を痛めて苦闘が続いた。追い打ちをかけるようにソチ入り後に左膝裏も痛めて、9日のノーマルヒルを欠場。ラージヒルに絞った。着地の衝撃で患部を悪化させないよう16日の団体戦公式練習も休んだ。

 限界ぎりぎりでの戦いだった。2本目を着地した後はブレーキングゾーンで止まれずバランスを崩して倒れた。装具を外せず、左 足を引きずりながら引き揚げた。ぼろぼろの状態でも1本目に同組2位、2本目で4位と安定したジャンプを見せ、アンカーの葛西につないだ。「周りに心配をかけていたし、あんまり“痛い”と言いたくなくて。今できることを出し切りたかった」。痛みを熱いハートで押さえ込んだ。

 98年長野五輪の当時は小学6年だった。最初は応援に行くことにすら乗り気ではなかった。だが、現地の熱気で魅了された。少しでも近くで見ようと白馬ジャンプ競技場の観客席の人混みをかき分け「五輪で優勝するとこんなに凄いんだ」と体を震わせた。中学で続ける競技を野球かジャンプかで迷う少年の未来が決まった瞬間だった。一番上ではなかったけれど、あの時に目に焼き付けた表彰台に伊東が立った。

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2014年2月19日のニュース