渡部暁 痛恨転倒6位…集団後方で「足元見えなかった」

[ 2014年2月19日 05:30 ]

6位でゴールした渡部暁

ソチ五輪ノルディック複合男子個人ラージヒル

(2月18日 ルスキエゴルキ・センター)
 個人ラージヒルが18日に行われ、個人ノーマルヒル銀メダルの渡部暁斗(25=北野建設)は6位入賞に終わった。前半飛躍(HS140メートル、K点125メートル)で4位につけたが、トップと33秒差でスタートした後半距離での転倒が響き、優勝したヨルゲン・グローバク(22=ノルウェー)に11・5秒差をつけられた。永井秀昭(30=岐阜日野自動車)は26位、渡部善斗(22=早大)は35位。加藤大平(29=サッポロノルディックク)は飛躍の着地後に転んで左肘を痛めて距離を棄権。20日の団体戦に出場できなくなった。

 思い通りにならない展開でもがき苦しんだレースだった。渡部暁は顔に滴る雨を拭いながら「きょうはちょっと難しかった」と渋い表情を浮かべた。「そう簡単にもう1個のメダルは獲れない」と予期していた通りの展開が待っていた。

 前半の飛躍はまずまずだった。134・0メートルの飛距離を稼ぎ、1位のフレンツェルと33秒差の4位。後半の距離が始まるとすぐに先頭集団に追いついた。しかし、前に出て引っ張ろうとしても「僕に前に出られたくないのかペースを落としてくれなかった」と集団の後方に押し込められた。狭いコースも災いした。

 10人1列となって勝負どころをうかがっていた7・5キロすぎ、痛恨のミスも犯した。下りのカーブで単独で転倒。「あそこは雪面がガリガリでみんな結構ブレーキをかけている。集団の後ろにいると足元があまり見えなくて滑ってしまった」。追いつくのに体力を消耗し、6位に食い込むのがやっと。98年長野大会の船木和喜(ジャンプ)、清水宏保(スピードスケート)以来の個人複数メダルは果たせなかった。

 加藤が飛躍で負傷し、20日の団体戦は欠場が決まった。レース後に報道陣から加藤の状態を聞かされた渡部暁は「えっ!」としばらく絶句し、「なんて言っていいのか。頑張ります!」と言葉をつないだ。チームキャプテンがいなくなった分、エースに懸かる期待は増す。まだ渡部暁のソチ五輪は終わっていない。

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