大鵬へあと4!白鵬28度目賜杯、決定戦で見せた底力

[ 2014年1月27日 05:30 ]

祝勝会で大杯を手に笑顔の白鵬

大相撲初場所千秋楽

(1月26日 両国国技館)
 西横綱・白鵬が14勝1敗で2場所ぶり28度目の優勝を決めた。1敗で追っていた大関・鶴竜に結びの一番で寄り倒されたが、優勝決定戦を寄り切りで制し、大鵬の32度、千代の富士の31度を視界に入れた。心臓病を患う少年に贈る優勝でもあったV28。過去2年優勝のなかった初場所で横綱の意地を見せた。初優勝を逃した鶴竜だが、北の湖理事長(元横綱)は春場所(3月9日初日、大阪・ボディメーカーコロシアム)が綱獲りになるとの見解を示した。

 決定戦を制した白鵬は支度部屋に戻ってくるなり「ふぅ」と大きく息をついた。鶴竜との激戦の末に28度目の優勝を達成した最強横綱。史上1位の大鵬のV32を視野に捉える領域に入ったが「疲れた。今すぐ眠れますね。ゆっくり休みたい」と充実感を超える疲労感が押し寄せていた。

 勝てば優勝だった本割では「ちょっと空回りしました」。右差しを嫌った鶴竜といったん体が離れた後、もろ差しを許して一気に寄り倒された。決定戦では得意とは逆の左四つとなったが「初日からの流れを思い出して臨みました」と先に上手を引くと力強く寄り切った。呼吸を整えて臨んだ表彰式では「28歳最後の優勝が28回目となり、本当にうれしい」と“28”にこだわったコメントで場内を沸かせた。

 優勝を逃した先場所後に大きな出会いがあった。後援会のある鹿児島県霧島市を訪れ、難病「拘束型心筋症」を患う水流添日向(つるぞえ・ひなた)君(7)の救命への協力を約束。米国での移植手術費用を集めるために募金を呼びかけ、母・二三代さんに直筆で「愛」と書いたサインを託した。すると、相撲に興味がなかった少年が今場所から毎日のようにテレビ観戦。「白鵬さんは強い。全然みんなと戦い方が違う」と日向君は横綱の優勝を予言し、学校の日記にも相撲の感想をつづった。家の玄関には「愛」のサインを飾り、学校や病院の行き帰りに常に見つめているという。

 難病と闘う少年に強い姿を見せた15日間。遠藤という新たな力も実感した。「そう簡単には上にいけないという、いい意味で盾になっていきたい」。それは、自らを矛で突いてくる脅威が現れたという意味。春場所中の3月11日には29歳を迎える。桜咲く頃、「29歳最初の優勝が29回目となり、本当にうれしい」と言えた時、年内のV32が現実味を帯びてくる。

 ▽「つるぞえひなた君を救う会」 募金の振り込み先など詳細は公式サイト。問い合わせは同事務局=(電)0995(58)2536。

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2014年1月27日のニュース