大関が変化!日馬富士の奇襲白星に館内「ブー!」

[ 2011年5月20日 06:00 ]

琴奨菊(左)との取組で立ち合いで変化する日馬富士

大相撲技量審査場所12日目

(5月19日 両国国技館)
 これでは「技量審査」にもならない。既に5敗を喫している大関・日馬富士は立ち合いの変化で琴奨菊を下し7勝目をマークしたが、取組後は館内からブーイングを浴びた。大関らしからぬ奇襲戦法は、土俵の充実による信頼回復どころか、ファンに失望感を与える結果となった。横綱・白鵬は阿覧を上手投げで下して全勝をキープ。1敗力士は消え、2敗は大関・把瑠都、栃ノ心、新入幕の魁聖の3人となった。
【取組結果】

 把瑠都と魁皇が繰り広げた力相撲でヒートアップした館内の空気が、そのわずか5分後には凍りついた。大関・日馬富士と大関候補の琴奨菊との注目の一番。しかし、日馬富士が立ち合いで大きく右へ変化して相手の左脇を突くと、踏み込んだ琴奨菊は土俵下に転がり落ちた。自身のブログなどで真っ向勝負を公言する日馬富士が“公約違反”の奇襲戦法。失意の館内はため息と大ブーイングに包まれた。

 支度部屋に戻った琴奨菊は開口一番、「がっかりです。自分も悪いけど、日馬富士は変化しないと思ってた」と“クレーム”。やり玉に挙がった日馬富士は「琴奨菊はまわしを取れないイメージがある。立ち合いで崩してからと思った」と弁解したが、放駒理事長(元大関・魁傑)は「もうちょっと見応えのある相撲を期待したんだけどねえ」と不快感を示した。

 相撲協会は、維持員がマークシートで力士の敢闘精神を評価するシステムを10日目から試験導入している。日馬富士の“変化”には、砂かぶりで目を光らせる“ご意見番”も不満タラタラだ。相撲愛好家団体のメンバーで構成する東京溜(たまり)会の木村本治会長(73)は「凄いブーイングでしたね。勝ちたい気持ちは分かるけど」とあきれ顔で振り返り、4段階評価で最低の「不満」の欄を迷わず塗りつぶした。

 八百長問題の影響で春場所中止に続き夏場所も通常開催を断念。相撲協会は「技量審査場所」として開催にこぎつけたが、審査の対象が“変化”ではシャレにもならない。土俵の充実を求められている中で、ファンを失望させる相撲を取った日馬富士は、13日目に結びで白鵬と対戦する。現役力士で横綱から最多の7勝を挙げる大関は「楽しみ」とだけ話したが、確かに違った意味でファンの反応が楽しみな一番となりそうだ。

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