安藤美姫 逆転2連勝!腰の痛みに耐えノーミス

[ 2010年11月22日 06:00 ]

フリー演技を終えて観客の声援に応える、優勝した安藤美姫

 フィギュアスケートGPシリーズ第5戦ロシア杯最終日は20日、ロシア・モスクワで行われた。女子はショートプログラム(SP)5位の安藤美姫(22=トヨタ自動車)がほぼミスなしの演技でフリー1位の120・47点を稼ぎ、合計174・47点で逆転して2連覇し、今季GP2連勝、通算5勝目をマークした。合計172・74点で2位に入った鈴木明子(25=邦和スポーツランド)とともにファイナル(12月10、11日・北京)進出を決めた。男子でSP6位の羽生結弦(15=東北高)は7位に終わった。

 4分間の演技を終えると、腰の痛みを隠して柔らかい笑みで声援に応えた。SP5位の安藤が、フリーで逆襲。07年世界選手権と過去のGPシリーズの5勝はすべて逆転で制してきた22歳が、また土壇場での強さを見せた。「大きなミスなく終わることができたのがビックリ」。不安を抱えた中での好演技に、誰よりも本人が一番驚いていた。
 大会前に痛めた腰には前日以上に痛々しくテーピングが施されていた。演技直前の控室では涙を流すほど、精神的に不安定だった。だが、安藤に届いた一つの声援が気持ちを変えた。「美姫ちゃん、頑張れ」。ロシアで聞いた日本語の子供の声で落ち着きを取り戻し、グリーグの「ピアノ協奏曲」の調べに乗った。
 SP首位の鈴木との差は3・43点。痛みに耐え、最初の3―2回転の連続ジャンプを決めてリズムをつかんだ。スピード感には欠けたが、1・1倍の得点となる後半にコンビネーションを含む5つのジャンプを成功。表現力が評価される演技点では鈴木に2・41点及ばなかったが、技術点の高さで圧倒した。それでも、腰を押さえて引き揚げてきた安藤は、納得していなかった。「ケガをしていなかったら(もっとできた)と思うと悔しい」。高得点、好成績を残しても満足しない姿勢が、進撃を支えている。
 GPシリーズ連勝でのファイナル進出は、昨季と同じ。昨季のファイナルはバンクーバー五輪金メダルの金ヨ児(キム・ヨナ)に敗れ2位だった。だがキム・ヨナ不在に加え抜群の安定感を誇る今季は初制覇のチャンスだ。
 「しっかり休んで準備したい。次はもっとスピードをつけた演技をしたい」。来年3月の東京・世界選手権に向けた重要な前哨戦で、安藤がまた輝きを放つ。

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2010年11月22日のニュース