幕下51枚目・普天王が13場所ぶり勝ち越し

[ 2010年11月22日 06:00 ]

山下(左)を寄り倒しで下す普天王

 大相撲九州場所8日目は21日、福岡国際センターで行われ、東幕下51枚目まで番付を落としている元小結・普天王(30=出羽海部屋)が、13場所ぶりの勝ち越しを決めた。日大の後輩の西幕下44枚目・山下(25=北の湖部屋)を寄り倒し4戦全勝。ここ12場所連続で勝ち越しがなかった30歳が、関取復帰に向けて新たな一歩を進めた。幕内は白鵬、魁皇、把瑠都、旭天鵬、豊ノ島の5人が1敗でトップに並んでいる。

 観客もまばらな午後1時半。どん底を見た男が執念を見せた。幕下51枚目の普天王が得意の左四つの体勢でがぶり寄り。一気に押し出す力はないが、必死の形相で日大の後輩・山下に体を預けて寄り倒した。4戦4勝。08年秋場所以来、実に13場所ぶりの勝ち越しだ。
 「長かったです…。言葉にならない。12場所も“おかげさまで”と言えないのはつらかった。いろいろあったしね」。地元九州のファンからは「熊本の星、普天王頑張れ!」と声援が飛んだ。
 7年前に初土俵。新小結の05年秋場所で横綱・朝青龍を破るなどホープと期待されたが、幕内上位に上がれば大負けを繰り返し昨年九州場所から十両に定着。右太腿裏の負傷もあり今年夏場所に幕下陥落決定。直後に野球賭博関与が発覚した。
 それでも普天王は「まず現役。やめてしまえばすべてが終わる」とあきらめなかった。師匠の出羽海親方(元関脇・鷲羽山)も「毎日稽古してきたし、その成果が出たんじゃないの」と話す。
 場所前に元プロ野球の桑田真澄氏がゴルフの石川遼に「失敗もあるけど自己満足してしまったらそこまで」と声をかけたシーンをテレビで見て感銘を受けた。「応援してくれる人のためにもここで終わりたくない」。30歳の心にやどる炎はまだ消えていない。

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2010年11月22日のニュース