朝青龍 帰国自粛で「来場所絶対勝つ」

[ 2008年1月28日 06:00 ]

白鵬に上手投げで敗れる朝青龍

 半年のブランクは想像以上に厳しいものだった。大相撲初場所千秋楽は27日、東京・両国国技館で行われ、朝青龍は相手有利の体勢から懸命に反撃したが、体格で勝る白鵬の投げに屈した。復活優勝を逃した問題横綱は取組後、記者に八つ当たりするなど悔しさをむき出し。場所後はモンゴルに帰国しない可能性も出てきており、リベンジの鬼と化して春場所(3月9日初日、大阪府立体育会館)で完全復活をもくろむ。

【大相撲優勝額
千秋楽結果


 落胆と失望に包まれた西支度部屋。仏頂面の朝青龍はテレビモニターに何度も視線を送り、白鵬の姿を確認した。最初は冷静に前を向いていたが、テレビ解説者の「朝青龍は負けず嫌いですから、必ず巻き返してきます」のコメントが耳に入ると「ふんっ」と不敵に笑い飛ばした。

 左ほおに食らった張り手の屈辱は忘れない。意地と意地がぶつかり合った横綱決戦。立ち合いでは横綱になって初めて顔を張られ、あっさり右を差し込まれた。懸命に左腕をねじこんで巻き替えを狙うが、白鵬の防御にあって万事休す。相手有利の体勢の中、懸命のつりで防戦するも最後は豪快にたたきつけられた。

 後輩横綱に打ちのめされたショックは大きかった。いつもより長い20分の入浴で悔しさを振り払った横綱は5分間の沈黙の後に「やることはやったし、さっぱりしている。(自分が)弱いんだよ。悔いはありません、力勝負だから」と潔く敗戦を認めた。しかし、徐々にイライラを募らせると、質問する記者に対し「何も考えてないよ」と八つ当たり。最後は「終わりだな、終わり」と吐き捨てて腰を上げた。

 半年のブランクは想像以上に過酷だった。周囲には「絶対に優勝してやる」と宣言していたが、中日を過ぎたあたりから「調子が上がってこないです」と漏らしていた。それでも千秋楽の横綱決戦に持ち込み、責務は果たした。師匠の高砂親方(元大関・朝潮)も「1カ月突貫工事でつくってきたけど、よくやった」と評価し、場所後のモンゴル帰国に関しても「横綱次第。届け出が出たら認めるつもり」と容認した。だが、朝青龍に近い関係者はモンゴル帰国には否定的。オフを利用して国内外で静養する予定もあるが、帰国は春場所でリベンジを果たした後まで控える可能性も示唆した。

 帰り際に支度部屋の扉を開けた瞬間、白鵬のいる東の支度部屋の方向を見つめた。東の正横綱の地位奪還はならず「来場所は絶対勝ちたいと思ったよ」と力強く反攻を口にした。世界一の負けず嫌いが、これで引き下がるはずがない。

 ≪本田医師が観戦≫朝青龍の主治医で精神科医の本田昌毅氏は熱戦をさじき席で観戦。打ち出し後は駐車場で、車に乗り込む横綱の胸に顔をうずめて嗚咽(おえつ)を漏らした。不安視された精神面については「心にキズは残っている。それがPTSD(心的外傷後ストレス障害)にならないように、見守っていく必要がある」と説明。結婚が無期限延期となっている王理恵さんとの来場は実現しなかったが「横綱は凄い。この悔しさを次への糧にしてくれるでしょう」と満足そうだった。

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2008年1月28日のニュース