白鵬 横綱相星決戦制しV3

[ 2008年1月28日 06:00 ]

白鵬が上手投げで朝青龍を破り、3場所連続6度目の優勝を決める

 大相撲初場所千秋楽は27日、東京・両国国技館で行われ、東の正横綱・白鵬(22=宮城野部屋)が相撲史に残る名勝負の末に問題横綱・朝青龍(27=高砂部屋)を破り、自身初の3連覇で通算6度目の優勝を飾った。日本中が注目し、両国国技館が今場所5度目の満員札止めとなる中、優等生横綱として期待を集めた男は豪快な上手投げで快勝。02年秋場所の武蔵丸―貴乃花戦以来の東西両横綱による千秋楽相星決戦を制し、ファンの期待に見事に応えた。

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 最大、最強のライバルを土俵に叩きつけ、東の正横綱の意地とプライドを見せつけた。だが、48本もの懸賞を受け取り、観客と握手を交わして東支度部屋に引き揚げてきた白鵬の表情は、大一番の激闘を物語るように硬くこわばったままでしばらく緩まなかった。
 「自分は巡業にも出てずっと稽古してきた。休んでいた横綱には負けられないという強い気持ちだけでした。仕切りの時も相手の目を見て気持ちだけは負けないようにと思っていました」

 立ち合い、朝青龍に見舞った“張り手”に今場所に懸ける思いが凝縮されていた。前回の対戦までは先輩横綱に敬意を表し、張り差しを狙ったことは一度もなかったが、今回は素早く右を差すために勝負に徹した。思惑通りに得意の右を差すと左上手も引き、がっぷり四つに組んだ。しかし、そこから土俵際まで寄り立てようとした時、筋力トレでパワーアップしていた朝青龍につり上げられそうになった。

 「危ない」。観客席の東通路で見守っていた育ての親、熊ケ谷親方(元幕内・竹葉山)の脳裏を最悪のシーンがよぎった。しかし、白鵬は「自分の力が入っていたので、(危ないとは)思わなかった」。最初のつりをこらえると、相手が2度目のつりに来たタイミングを見計らい、今度は左から投げを打ち土俵に1回転させた。

 朝青龍不在の場所でV2を果たしたが、復帰場所でいきなりライバルの優勝を許せば、連覇の価値もなくなるところだった。そのプレッシャーを白鵬は「横綱になった人しか分からないものだと思います」と説明した。前夜は午前0時30分にベッドに入ったが「いろいろ取組のことが浮かんできて、なかなか寝つけなかった」という。今場所、腰痛に苦しむ夫のために毎朝20~30分かけて腰をマッサージしていた紗代子夫人(21)も「場所中は私が朝青龍関の名前を口にできないほど意識している感じでした」と振り返った。それでも弱音は一度も漏らさなかった。場所中、朝稽古を休んだのは1日だけで、10日目に安馬に敗れた直後には、熊ケ谷親方に「休んでいた横綱には負けたくない。このまま最後まで突っ走ります」と自分自身を鼓舞するように宣言していた。

 相撲史に残る名勝負を制し、朝青龍の一強時代が終わったことを証明した。「3連覇という大きな目標を果たしたので、次は4連覇に向かって頑張るだけです」。重圧をはねのけ、さらなる高みに到達した覇者の目は早くも次の目標に向けられていた。

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2008年1月28日のニュース