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横浜、3年ぶり奪冠 王手から1カ月“誰が出てもマリノス”全員主役の総合力でつかんだ

[ 2022年11月6日 04:49 ]

明治安田生命J1最終節   横浜3-1神戸 ( 2022年11月5日    ノエスタ )

<神戸・横浜>サポーターに向かってシャーレを掲げる仲川(撮影・北條 貴史)
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 明治安田生命J1リーグは5日、各地で最終節の9試合が行われ、首位の横浜が3年ぶり5度目の優勝を決めた。アウェーの神戸戦に3―1で快勝し、同じく勝利した2位川崎Fとの勝ち点2差を守り切った。各ポジションに日本代表級やブラジル籍選手ら実力者をそろえ、激しい競争がチームを活性化。3連覇を狙った川崎Fの猛追を最後に振り切り、ゴールテープを切った。

 こだわり続けたマリノスのサッカーを最後まで貫いた。引き分けでもほぼ優勝の状況ながら、攻撃の手を緩めない。5月末から首位を走り、10月1日に王手をかけてから約1カ月。重圧にも苦しんだからこそ、敵地での3発快勝の瞬間、感情が爆発した。

 ベンチに下がっていたMF水沼は泣き崩れた。主将のMF喜田も目を潤ませ、「全員が役割を果たした。一人一人にありがとうと言いたい」と感謝した。19年の最優秀選手に輝きながら、今季はスーパーサブの役回りを受け入れ、頂点を決定付ける3点目を決めたFW仲川は「チームのために何ができるか。誰もが考え、行動した。皆で勝ち取った優勝」と誇った。

 昨季の得点王、FW前田大然はオフに移籍し、今季もFW宮市が7月に戦線離脱した。03、04年の連覇に貢献したDF松田直樹やDF中沢佑二のような代表の主力はいないが、主役がいない強さがあった。マスカット監督は「全員が必要だ」と訴えて出番を分散させた。GK以外で最多出場はDF岩田の32試合止まり。ほかは28試合分にも満たない2500分以下。出場時間を管理したことで、守備ラインを上げ、前から激しく寄せ、球際で強く当たる超攻撃型のサッカーを貫けた。

 指揮官も信念を曲げなかった。「短所を補うよりも、長所を伸ばす」。献身性が目立った昨季の前田と比較され、守備がやや見劣りする2年目のFWエウベルについても「選手を比べるのはどうかな」と一蹴。エウベルはこの大一番で、鮮やかなヘディングでの先制ループを決めた。

 昨季の先発1試合から、ひたむきに努力し定位置を奪った水沼に触発されるように全員が前を向いた。控えに回った仲川も不満を一切見せない。「誰かが欠けても誰かが補う、バランスの取れたチーム」と水沼が言えば、DF小池龍も「今年は“誰が出てもマリノス”と言われる」と胸を張る。勝ち越し点を挙げた西村をはじめ、2桁得点は今季最多の3人。水沼も7点、仲川も7点と、今季最多得点を多彩な面々で積み上げた。

 16年以降はクラブハウスを持たず複数の練習場を転々としていたが、来年1月には横須賀市内に新たな練習拠点が完成。新時代の基盤となる。Jリーグ誕生から30年目は、色鮮やかなトリコロールの勇者たちが主役となった。

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