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元日本代表監督のイビチャ・オシム氏が急死 80歳、前日にも知人と連絡 母国も追悼

[ 2022年5月2日 05:30 ]

元日本代表監督のオシム氏
Photo By スポニチ

 サッカーの元日本代表監督のイビチャ・オシム氏が1日、死去した。かつて指揮を執ったオーストリア1部シュトゥルム・グラーツが同日、公式サイトで発表した。80歳。死因は不明。旧ユーゴスラビア出身のオシム氏は90年W杯イタリア大会で同国代表を率い8強入り。03年に来日しJ1市原(現J2千葉)監督を経て、06年から日本代表を指揮したが、07年病に倒れ退任した。

 関係者によると、オシム氏は前日まで普段通りの生活を送っていたという。その関係者と近く面会する約束もしていた。しかし1日午前10時ごろ、オーストリア・グラーツにある自宅で急死した。6日には81歳の誕生日を迎えるはずだった。その直前での訃報。葬儀は出身地ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボで行われる予定だ。

 アシマ夫人から連絡を受けたシュトゥルム・グラーツは同日、公式サイトで「クラブにおける世紀の監督」の死去を伝えた。ヨーク会長は「イビチャ・オシムは偉大な監督というだけでなく、偉大な人間だった。クラブの象徴でともに過ごした時間を忘れない。彼はサッカーを超えて強い影響力を持ち、その言葉はいつまでも我々とともにある。安らかに眠れ、イビチャ!」と追悼のメッセージを寄せた。

 地元メディアによれば、シュトゥルム・グラーツは1日にクラブ創設113年の記念日を迎え、祝賀会が予定されていたが、オシム氏の死去を受けてキャンセルしたという。

 オシム氏は現役時代FWで母国やフランスのクラブでプレー。旧ユーゴスラビア代表の一員として64年東京五輪に出場した。引退後は世界各国で指導者として活躍した。同国代表監督として臨んだ90年W杯イタリア大会では、ストイコビッチらを擁して8強入りを果たした。

 その後、シュトゥルム・グラーツなどの監督を歴任し、03年市原監督に就任すると、05年ナビスコ杯(現ルヴァン杯)で優勝。その手腕を買われ06年W杯ドイツ大会終了後に日本代表監督に就任した。

 10年W杯南アフリカ大会出場での躍進を目指し「日本サッカーの日本化」を標ぼう。日本選手の特長を生かした「考えて走るサッカー」を掲げてチーム強化に取り組み、「ポリバレント(複数ポジションをこなす)」、「水を運ぶ人」などの言葉を定着させたが、07年11月、脳梗塞で倒れて退任を余儀なくされた。

 その後は母国であるボスニア・ヘルツェゴビナ協会の正常化などに尽力し、14年のW杯初出場を実現させた。

 イビチャ・オシム 1941年5月6日生まれ、ユーゴスラビア(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)・サラエボ出身。90年W杯イタリア大会にユーゴスラビア代表監督として出場、MFストイコビッチらの活躍で8強入りし注目される。03年市原(現J2千葉)監督に就任し、05年ナビスコ杯優勝。06年W杯ドイツ大会終了後に日本代表監督に就任した。07年11月に脳梗塞で倒れて退任。16年旭日小綬章受章。

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2022年5月2日のニュース