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小嶺忠敏さん 座右の銘は「動」 若造記者の披露宴のために動いてくれた一日を生涯忘れない

[ 2022年1月8日 05:30 ]

小嶺忠敏さん
Photo By スポニチ

 【悼む】02年1月の国見の連覇達成から10日後、小嶺さんはサッカー担当だった私の披露宴会場に来てくれた。「(00、01年と)2連覇の前は8年間勝てなくて批判され、新聞記者が嫌いでした。でも、今は何でも話せますよ」。冒頭はどきっとしたが、にやりと笑って、新郎を持ち上げてくれた。

 単なる報告のつもりだった。「先生、僕今月結婚するんですよ」。選手権の最中にそう、伝えた。ほろ酔いの小嶺さんは愛用の手帳を開き「その日はワシも行けるのに、招待状が来とらんぞ」と言って、ガハハと笑った。選手権が終われば、新学期。新人戦の予選も始まる。誰もが酒の席の冗談だと思っていた。

 だが、小嶺さんは来た。私の故郷と国見町は有明海を挟み、フェリーが航行する。披露宴をした福岡市に出る時にはいつも電車移動だったそうだが「せっかくだからね」とフェリーで海を渡り、わざわざ、故郷を“経由”して来てくれた。

 座右の銘は「動」――。その通りの人生だったと思う。若造の記者のためにそれだけ動いてくれた1日は生涯、忘れることはない。本当にお世話になりました。合掌。(99~03年サッカー担当、東京本社スポーツ部デスク・福浦 健太郎)

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2022年1月8日のニュース