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松本良一フィジカルコーチ 五輪選手と勝負、酷暑の過密日程 最後まで導く

[ 2021年5月26日 05:30 ]

ポイチの参謀 ONE TEAM(3)

 中京大時代に東海学生リーグで新人王や得点王に輝いた松本良一フィジカルコーチ(46)は、専門外の競泳で勝負に挑んだことがある。相手は当時、同じ研究室にいた92年バルセロナ五輪100メートル平泳ぎ4位の林享氏(46=東海学園大監督)。自身はクロールで林氏は平泳ぎ。完敗だった。「その時初めて、平泳ぎってこんなに凄いんだと。五輪というものを肌で感じた」と振り返った。

 04年アテネ五輪のハンマー投げ金メダリストで、現在はスポーツ庁長官の室伏広治氏(46)も大学、大学院の同級生。「金メダルに対してのアプローチの仕方の次元が違って驚かされた」ことがあった。そんな学生時代に志したフィジカルコーチとして、今度は自身も五輪の金メダルを目指す立場となった。

 17年12月の森保ジャパン発足から参加し、何十種類に及ぶデータを収集してきた。「東京五輪はどうしても暑い。高強度の攻撃や守備を仕掛けてくる相手に対して、どういうパフォーマンスをできるのかが重要なポイント」。スタッフ会議では体重の変動や高低のデュエル回数、ポジション別の走行距離など数種類を抜粋して森保監督らに示す。3年半でチームとしてデュエルの回数は顕著に変化。「明らかに上がっている。たくましくなっている」と手応えをにじませる。

 本番は酷暑で中2日の過密日程。疲労回復やケアも重要な役割だ。暑熱対策では国立スポーツ科学センターとも協力する松本コーチは「選手たちを最後のゴールにたどり着かせてやりたい」と頂点を見据えた。

 ◆松本 良一(まつもと・りょういち)1974年(昭49)7月9日生まれ、福岡県出身の46歳。中京大で運動生理学を学び、中京大大学院卒業後は立正大、市原(現J2千葉)、福岡、広島などでフィジカルコーチを務める。17年の森保ジャパン発足とともにU―20代表のフィジカルコーチに就任。趣味はスポーツ全般。家族は妻と1男。

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2021年5月26日のニュース