×

ルカク、延長トドメ弾!ベルギー28年ぶり8強入り

[ 2014年7月3日 05:30 ]

<ベルギー・米国>延長前半に2点目を決めたルカク(AP)

W杯決勝トーナメント1回戦 ベルギー2-1米国

(7月1日 サルバドル)
 ベルギーの進撃が、サッカー界に新たな潮流をもたらす。1次リーグ3試合に続き、またしても選手交代後に決勝点を叩き出し、86年大会以来の8強進出。ウィルモッツ監督は「観客には素晴らしい試合だろうけど、私の心臓には良くないね。選手には“もう勘弁してくれ”と言っておくよ」と悲鳴を上げながらも、してやったりの表情だ。

 90分間で浴びせたシュートは30本。枠内にも20本を飛ばしたが、相手GKの好セーブに阻まれ続けた。攻め手は尽きたかに思われたが、ここからが赤い悪魔の真骨頂だ。延長前半から21歳のFWルカクが途中出場。すると3分に右サイドでパスを受け、マーカーのタックルを1メートル90、100キロの堂々たる体で吹っ飛ばしながらドリブル突破。クロスを入れると、クリアミスをデブルイネが正確な右足シュートでネットを揺らした。同15分には最終ラインの裏に抜けて自ら2点目を挙げ「僕だけじゃない。23人がヒーローだよ。みんなでやり遂げた」と喜んだ。

 本来なら不動のエースとなるべきモンスターFW。先発2試合で無得点に終わり、3戦目から先発を外れた。それでも監督から「トーナメントではおまえに懸かっている」と伝えられ、ベンチで待機。初先発の19歳オリジが開始40秒でシュートを見舞うなど息もつかせぬ猛攻で相手を疲弊させると、オリジに代わった延長戦に馬力とスピードを生かす大仕事。「相手が疲れた時に僕たちはギアを上げられた」と采配にも絶大な信頼を寄せた。

 ウィルモッツ監督が「23人、誰一人として先発を保証していない」と言った通り、この4試合でフィールドプレーヤー20人のうち、DFシマンを除く19人が先発した。さらに6得点中4得点を交代選手が決めた。暑さによる消耗が指摘される中、今大会全体でも前回大会の10・34%を上回る18・83%が交代選手による得点だが、ベルギーは実に66・67%を占める。疲れた相手に勝負どころを見極めた采配で「現代のサッカーではフレッシュな足が重要」と勝ち誇った指揮官。分厚い選手層と巧みな用兵で快進撃が続く。

 ◆ロメル・ルカク 1993年5月13日、ベルギー・アントワープ生まれの21歳。09年5月にアンデルレヒトでプロデビュー。09~10年シーズンには15得点を挙げ、ベルギーリーグ最年少の16歳で得点王。11年に推定移籍金1800万ポンド(当時約23億円)でチェルシーに移籍。出場機会に恵まれずにウェストブロミッジを経て昨年9月にエバートンにレンタル移籍した。代表通算32試合7得点。1メートル90、100キロ。利き足は左。

続きを表示

この記事のフォト

2014年7月3日のニュース