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【オシム分析3】スイスの前線4人 移民系選手がチームの進化促す

[ 2014年7月3日 10:31 ]

スイスは多人数で取り囲むというメッシ対策を徹底したが…(AP)

 アルゼンチン―スイス戦は、決勝トーナメント初戦のブラジル―チリ戦に続いて、優勝候補が姿を消すのかと思わせた好試合だった。スイスは4年前もスペインに勝ったが、当時の守備的なチームから進化した。ヒッツフェルト監督によって訓練され、若い戦力を加えたチームになった。

 スイスはかつてスイーパー(当時の名はコンクリートシステム)を考案するなど、守備の伝統がある。この試合でもアルゼンチンを研究し、メッシがボールを持つと、3人が囲むという対策を徹底した。延長途中まで機能していたが、最終的にはメッシにマークが集中した隙を突いて、フリーになったディマリアに試合を決められた。

 スイスの特徴は、特に前線の4人が若いことだ。1トップのドルミッチ(21)の周囲をシャキリ(22)やシャカ(21)、メーメディ(23)が走り回る。ボール支配率は圧倒的にアルゼンチンが優位だが、奪ったボールを素早く前に運ぶスピーディーなカウンターは見応えがあった。ただし、少し時間がかかるとアルゼンチンの守備網を突破できない。ちょっとしたアイデアがあれば、と感じた。4年後が楽しみだ。

 この4人はコソボやボスニア、マケドニアの出身だ。控え選手を含めると9人が旧ユーゴスラビア系の選手。トルコ系のインレルなども加え、従来の手堅く慎重なスイス的スタイルに移民系の選手たちがアグレッシブな要素を加えている。

 スイスには以前からトゥルキルマズ、ヤキンらトルコ系のいい選手がいたが、現在は移民系の比重がさらに増している。対照的にボスニア・ヘルツェゴビナはレギュラーの大半が移民や難民として海外に移住した子弟でサッカーの代表は両親の国を選択した。さまざまな形があってよいと思う。もはや米国やオーストラリアだけが「移民の国」ではないのだ。

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2014年7月3日のニュース