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大宮3発!初首位!病魔と闘う塚本に勇気贈った

[ 2010年3月8日 06:00 ]

<大宮・C大阪>右大腿骨骨肉腫で手術を受ける大宮DF塚本泰史は、試合前にあいさつを行い、C大阪サポーターからも温かい声援を送られる

 塚本のために…。大宮が一丸となって価値ある1勝をつかんだ。J1第1節最終日の7日、大宮はホームでC大阪を3―0で破った。右大腿骨骨肉腫を公表したDF塚本泰史(24)が見守った開幕戦で、塚本の駒大の先輩MF橋本早十(28)の先制点を口火に3ゴールを挙げて快勝。勝ち点3を獲得し、得失点差で鹿島などを上回り、クラブ史上初の単独首位に立った。

 大宮イレブンが病魔と闘うDF塚本に勇気を与えた。「出来過ぎというくらいに良かった。あいつの笑顔を見たいという一心でひとつにまとまった」。MF藤本主将の言葉通り、J1復帰のC大阪を運動量と気迫で圧倒。05年のJ1昇格後初めて首位に立った。

 右大腿骨骨肉腫を患ったことを公表した塚本は、苦楽を共にした仲間のメッセージが書き込まれたユニホーム姿でピッチに立ち、温かい声援を受けて涙を流した。その姿を目の当たりにして、奮起せずにはいられなかった。前半14分、右CKを直接ゴールに決めたのはMF橋本だった。「勇気づけられたか分からないが選手はそれぐらいしかできないので」。あえて淡々と語ったが、駒大の4年先輩に当たる男は最もこの試合に懸けていた1人だった。先制点でリズムをつかむと、シュート18本で3得点。ゴールのたびに、塚本が見守るスタンドに向け背番号2を意味するVサインを掲げた。

 試合前には募金と「共に戦おう」という横断幕への寄せ書きが行われた。そこにはC大阪サポーターの姿もあった。試合後に会見に臨んだ塚本は「きょうの試合は一生忘れられない。気持ちが伝わってきて、本当にうれしかった。オレって幸せだなと思う」と感謝の言葉を述べた。

 患部に人工骨を埋め込む手術は選手生命を絶たれる可能性もはらんでいるが、多くの人に励まされて強い気持ちが持てるようになった。「次は自分が頑張る番。それが皆さんに対する恩返しだと思う」。もう涙はなかった。再びピッチに立つことを信じて、病に正面から立ち向かっていく。

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2010年3月8日のニュース