【王将戦】谷川浩司17世名人 王将戦7番勝負を読む 悪手嘆くも見せた粘り・・・菅井八段思いぶつけて

[ 2024年1月27日 05:00 ]

王将戦・A図
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 王将4期の谷川浩司17世名人(61)が第2局を解説するとともに第3局を展望した。先手の藤井が居飛車穴熊で、菅井の三間飛車を連破した第2局。1日目、悪手を指した菅井だが、形勢を悲観しながらも2日目午後3時過ぎまで粘りを見せた。「対局中、抱いた思いを第3局へぶつけてほしい」と語った。

 第2局は1日目で形勢に差がついた。封じ手直前、藤井の45手目▲7四歩(A図)に菅井が△4五桂。「狙い筋ではありますが、悪手でした」と解説する。

 △4五桂は次の△5七桂成が狙いだが、藤井にすでに▲7四歩と取り込まれている。自王の頭上へ歩が迫るのと、穴熊に収まった藤井王から遠い5七に成桂をつくるのとでは釣り合いが取れず▲7四歩を△同銀と取ってその後がどうだったのかに興味があった」と残念がった。終局後の感想戦では△同銀以下▲7五歩△6三銀引▲6八角が検討され、その後△6五歩は▲3六歩の攻め合いが有力視された。

 1日目昼食休憩明けからそれまでのハイペースが一転、長考合戦になった。42手目に32分、43手目1時間40分、44手目1時間25分、45手目▲7四歩に1時間2分。ところがこの△4五桂は4分。振り飛車は左桂のさばきが命と言われ、気持ちのいい桂跳ねとも映るが、本譜のように▲8六角と出られて次の▲7五銀を見せられると菅井の8四角が逃げ場所に困っている。

 「手拍子に指された手だったのか、元々指そうとした手と違うものを指してしまったのか」

 菅井の心中を推し量るように語った。確かに終局後の取材に△7四同銀と取る手しか考えてなかったんですが…。なんで△4五桂と指したのか、自分でも分からない」と天を仰いだ菅井。島根県大田市の「さんべ荘」へ舞台が移る第3局。菅井が岡山市出身とあって「研究合宿でも通った場所。ホームグラウンドという意識で臨めるのでは?」と谷川は指摘した。

 菅井に切り替えを期待する一方、藤井については「言うことがありません。全てに万全」。今年度成績を38勝6敗、勝率・864に伸ばし、残り2カ月余りで中原誠16世名人の歴代最高・855にも挑む。「トップクラスにいながらあり得ない数字です。読みのスピード、量、集中力。細かい、小さいところの積み重ねが大きいのだと思う。“凄い”と繰り返すしかありません」と賛辞を重ねた。

 菅井は痛恨の一手を指した翌日も、午後3時26分まで投了しなかった。棋士らが集う控室では午前中の決断もささやかれたが、対局地の佐賀県上峰町では午前10時半から大盤解説会が開催されていた。

 「解説会が始まってすぐ投了ではお客さんに申し訳ないとの思いはあったはず。2日目、どういう気持ちで指し続けたのかを第3局以降にぶつけてほしい」。ファンの期待も背負う振り飛車党の旗頭へ、奮起を促した。(構成・筒崎 嘉一)

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