「どうする家康」最終回 艱難辛苦の生涯一転肯定 松潤家康“最期の顔”いかに生まれたか 演出絶賛の裏側

[ 2023年12月29日 11:00 ]

大河ドラマ「どうする家康」最終回(第48話)。病床の徳川家康(松本潤・下)だったが…(C)NHK
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 嵐の松本潤(40)が主演を務めたNHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜後8・00)は今月17日、15分拡大で最終回(第48回)が放送され、完結した。同回を担当したチーフ演出の村橋直樹監督に撮影の舞台裏を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 「リーガル・ハイ」「コンフィデンスマンJP」シリーズなどの古沢良太氏がオリジナル脚本を手掛けた大河ドラマ62作目。弱小国・三河の主は、いかにして戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのか。江戸幕府初代将軍を単独主役にした大河は1983年「徳川家康」以来、実に40年ぶり。令和版にアップデートした新たな家康像を描いた。古沢氏は大河脚本初挑戦。松本は大河初主演となった。

 最終回は「神の君へ」。徳川VS豊臣の最終決戦「大坂夏の陣」(慶長20年、1615年)、徳川家康の臨終が描かれた。

 元和2年(1616年)4月17日。病床にある徳川家康(松本潤)の眼前に瀬名(有村架純)と松平信康(細田佳央太)が現れ…時は永禄10年(1567年)、信康と五徳の祝言が脳裏によみがえる。家康がまだ「白兎」だった頃、のちに思い出し笑いしてしまう「鯉の話」が生まれた日――。

 織田信長(岡田准一)から贈られた鯉が夜のうちに3匹とも姿を消し、魚の骨が見つかる。一体、誰が食べたのか。信長の耳に入れば…。岡崎城は大騒動。家康による犯人探しが始まった。

 鯉に目がない鳥居忠吉(イッセー尾形)が最も怪しい。家康は刀を振りかぶる。最後の“どうする、家康”――。「大事な家臣を、鯉と引き換えにはできぬ」「鯉は所詮、鯉じゃ。食うて何が悪い」――。しかし、すべては家臣団の戯れ。信長の岡崎入りも嘘だった。家臣団は最初から家康が忠吉を手打ちにしないと信じていた。本多忠勝(平八郎)(山田裕貴)は「皆、よう分かっておるのでござる。殿というお人を、そのお心を」――。

 家臣団1人1人が礼を述べる。家康は「こちらこそじゃ。心より、感謝申し上げる」「わしは、幸せ者じゃな」と感涙。再び元和2年。広々とした寝所に1人、家康は涙を流し、その思い出とともに、永い眠りについた。

 村橋監督は「過去の記憶により小さな救いに満たされて死んでいく最期のシーンで、松本潤さん演じる家康の表情は、これまでの47回分で積み上げてきた家康の苦しい人生を一転して肯定するに足る素晴らしいものでした」と絶賛。「しかし、あれは1人でたどり着いたものではなかったと思います。その背景には、1年半にわたって収録を共にした家臣団の俳優たちと、座長・松本さんとの役柄を超えた関係性がありました」と振り返った。

 収録当日も「座長のところに集うレギュラー俳優たちの同窓会のような様相だったわけですが、それがそのまま死にゆく家康の記憶の中に集まった家臣団たち、という台本の構図に溶けていった印象です。俳優たちそれぞれが、そして我々スタッフそれぞれが、何か撮影を通して家康に、ひいては松本さんに労いの言葉を掛けているような、そんな雰囲気でもありました」と明かした。

 「役と現実とは切り離さなければならないものだと思いますが、それがにじみ出てしまうことも、長い年月を共に過ごして作る大河ドラマの良さであるとも言えます。そういう意味で、あのラストシーンは、松本潤という座長の人間力が生み出したものだったのかもしれません」

 総集編(4章構成)は29日(後1・05~5・49)に放送される。

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