【一問一答(4)】日本将棋連盟・羽生会長  羽生7冠と藤井8冠が対局したらの問いに即答

[ 2023年10月20日 19:11 ]

<将棋連盟・羽生善治会長会見>会見で笑顔を見せる羽生善治会長(撮影・西尾 大助)
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 日本将棋連盟の羽生善治会長(53)が20日、東京都渋谷区の将棋会館で報道陣の取材に応じ、11日に全8タイトルを史上初めて制した藤井聡太王将(21)についてあらためて語った。

 ――藤井8冠のような存在は10年か20年に1人は必ず出現するのか、それともやはり特異なのか。

 「10代から頭角を現す棋士はいつの時代も必ずいる。よくあることだが、一方で20代前半で全冠制覇するとかはなかったこと。今までの棋士も10代後半、20代後半は荒削りの部分も多い。それが藤井さんほぼないのは特異な存在だと」

 ――単純に「天才」という表現がふさわしいのか?他に表現するとすれば。

 「天才と表現すると、すぐにそれで終わってしまう(笑い)。そこから広がりがない。藤井さんの個性やバックグラウンド、オリジナルの考え方はたくさんあると思う。その部分はまだ見えていない。少しずつ、その天才的な部分が見えてくるのでは」

 ――羽生会長はこれまで各会の第一人者と対談し、藤井8冠も同じような対談経験があるが、藤井8冠にどのような意義があるか。

 「私自身、そういう機会に恵まれている。幸運なこと。いろいろ勉強になる。藤井さんもこれからそういった機会も増えていると思うし、そういう出会いの経験が棋士としての強み、収穫になっていくと思う」

 ――藤井8冠が変えた将棋のセオリーは?

 「藤井さんの指している将棋は特徴があり、一つの形を徹底的に深掘りしていく傾向がある。角換わり、相懸かり…の深掘りの度合いが非常に深い。形によっては終盤戦まで調べ尽くしている。徹底した分析がセオリーを変えたところがある。一方で研究や分析で勝負がつかない力戦調の形も最近多い。そういうところでの対応の仕方、考え方、発想による指し手の選び方が他の棋士の影響を与えていると思っている」

 ――27年前の羽生7冠と、今の藤井8冠が対局したら?

 「(笑いながら)全然かなわない。全くかなわないです」

 ――他の棋士に期待することは?

 「結果は結果として素直に受け止め、藤井さんから学べること、吸収できること、参考にできることはたくさんある。そういうことを詰み重ねながら、棋士としての実力を上げることを目指す。藤井さんもこれからパワーアップするはずなので、牽引してもらい、将棋界の実力を上げていくことがいいのでは」

 ――全冠制覇で見える景色は変わった?

 「景色が変わったより、環境が変わった。ほんとうに慌ただしく日々が流れていく。おそらく藤井さんも同じ状況と思う。ただ藤井さんは冷静沈着。変わらずに自分のスタンスを貫く印象も持っている」

 ――次に見たいのは羽生会長のタイトル通算100期。

 「もちろん私も現役の棋士。変わらず向上心をもってやり続けなければと思っている。藤井さんの棋譜は自分自身も参考になる。それを採り入れながら頑張って行けたらいいなと」

 ――王将戦で得たものは。

 「2日制で対局し、棋譜だけでは見えない部分でためになること、参考になることは多々あった。これから先も生かせたら」

 ――藤井8冠からタイトルを奪う棋士の出現について。

 「なかなか藤井さんの牙城は崩せないが、今回の永瀬さんは内容的に五分以上の将棋を見せてくれた。全くチャンスがない、全然希望がないということではない。自分も含め、今以上にさらに棋力を充実させて臨んでいくのがなにより大事では」

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