猿之助被告 20日初公判5つのポイント 「薬と両親の死の因果関係」「動機」「執行猶予付くか」…

[ 2023年10月20日 05:00 ]

7月、保釈されて原宿署を出る市川猿之助被告

 両親に向精神薬を服用させ、自殺を手助けしたとして、自殺ほう助の罪に問われた歌舞伎俳優市川猿之助(本名・喜熨斗孝彦)被告(47)の初公判が20日、東京地裁で開かれる。歌舞伎界を揺るがした衝撃事件の裁判。専門家や関係者への取材で5つのポイントが浮かび上がった。

 関係者によると、猿之助被告は7月31日に保釈された後、都内の病院で療養。一時、事件現場となった自宅に戻った。先月中旬には付き人が買い出しのために出入りする姿が目撃されていた。猿之助被告と両親の3人が一家心中を図ってから5カ月。唯一生き残った被告の公判にはポイントが主に5つある。

 (1)因果関係 レイ法律事務所の河西邦剛弁護士は「向精神薬を両親に渡したことと死亡との因果関係を、検察がどう科学的に立証するかが最大の焦点」とみる。「仮に否定されたら自殺ほう助未遂、または無罪になる可能性もゼロではない」と罪状にも大きな影響が及ぶとした。眠った両親にビニール袋をかぶせたとされることには「あくまで薬を渡したことが起訴罪名なので、審理の中心から外れる可能性がある」とした。

 (2)動機 事件前日には、週刊誌が自身のパワハラやセクハラ疑惑を報じると被告側に知らされた。被告は「記事が掲載されると両親に話したところ、家族3人で次の世界に行こうとなった」と供述。報道をどう感じ、どう心中につながったと説明するかも注目だ。

 (3)量刑 有罪判決が出た場合、執行猶予が付くかどうかも大きな焦点だという。河西氏は「両親が自殺しようと考えた原因を誰がつくったのか。そして家族会議で誰が自殺を切り出したのか。それが情状に関係する。自殺の意思がある人とない人に薬を提供するのでは全然違う」と説明。執行猶予が付く可能性が十分にある一方で、実刑の可能性も残しているという。

 (4)人定質問 裁判では冒頭、裁判長から名前や職業などを聞かれる。この際「俳優」「元俳優」「無職」など、どのように答えるかも注目だ。「俳優」と答えた場合は、歌舞伎界への復帰の意向が透ける。歌舞伎関係者の「松竹は演者にせよ、裏方にせよ戻したいと思っているようだ」といった期待感とも合致する。ただ「もう見たくない」といった批判を浴びる懸念もあり、世間の目を気にしながらの判断になりそうだ。

 (5)情状証人 最適な人材は「生活を監督できる人。一般的には家族や組織の上の立場の人」(河西氏)。猿之助被告が独り身となった中、歌舞伎関係者は「誰か出るなら市川中車さんしかいない」と指摘。「25日から舞台があり、大変とは思いますが、猿之助さんはスキャンダルで仕事をなくした中車さんに活動の場を与えてくれた恩人。恩返しの意味で法廷に立つ可能性もある。中車さんにとっても澤瀉(おもだか)屋が窮地を脱するために必要な存在」と語った。

【経過】
 ▼5月15日夜 週刊誌「女性セブン」記者から直撃取材を受ける

 ▼17日 出演中の公演休演日。女性セブンの記事内容を知る

 ▼18日 両親と3人で自宅で倒れているところをマネジャーが見つけ119番。両親が死亡

 ▼19日 被告が退院

 ▼24日 本格聴取開始

 ▼6月27日 母親に対する自殺ほう助の疑いで逮捕

 ▼7月18日 父親に対する同容疑で再逮捕

 ▼28日 東京地検が両親に対する自殺ほう助の罪で起訴

 ▼31日 保釈

 ▼10月20日 初公判

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