釣りとアニソンと…ささきいさおが童心に返る時 変わらぬ美声の源はキャリア70年以上のライフワーク

[ 2023年4月14日 06:00 ]

2010年に7キロの鯛を釣った、ささきいさお
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 【だから元気!】著名人に健康や元気の秘訣(ひけつ)を語ってもらう企画「だから元気!」。今回は50年以上にわたり日本のアニメ界をけん引してきた声優でアニソン歌手のささきいさおさん(80)。今なおステージで美声を響かせるエネルギーの源になっているのが釣り。小学生の時からはまり続けているライフワークです。 (構成・吉澤 塁)

 初めて釣りをしたのはいつだろう…。小学校低学年だったかな。近くに川や池があって、割り箸にスルメを付けてザリガニを釣っていましたね。小学3年生の時に亀戸(東京都江東区)に引っ越してからは、葛西(江戸川区)の方に行ってハゼ釣りをしたり。今では考えられないほど減っちゃいましたが、当時はハゼを釣れる場所がたくさんあったんです。

 ハゼの天ぷら、物凄くおいしいんです。僕が好きなのは釣ってそれを自分でさばいて食べること。それは小さい時からずっと変わらない。今はまとまった休みができると釣り仲間たちと安房鴨川(千葉県鴨川市)を拠点にしていろいろなものを釣っています。春はマルイカ、ケンサキイカ、タイ。秋はシマアジ。この2シーズンは欠かせませんね。

 これまでで一番の大物は2010年に釣った7キロのタイ。その後、刺し身にして食べようとしたんですが、筋張っていて食べられたもんじゃなかった(笑い)。しゃぶしゃぶにしてなんとか食べられたけれど、釣った時の手応えと食べた時の満足感はまた別だね。

 釣りの間はそれだけに集中することができる。仕事のことなんか一切考えない。ただ自分の目の前の竿と向き合う。だからオンとオフのめりはりがつく。長く仕事を続けられる秘訣かもしれない。

 小さな時からさまざまな種類の釣りを経験してきたので、何を釣っていても子供の時の思い出がある。だから釣りをしている間は童心に返ることができるんです。僕が普段アニソンを歌う時も全く一緒。子供の時の気持ちになって、ヒーローたちに思いをはせる。自分の童心を奮い立たせるという意味では釣りも歌も同じなのかもしれませんね。

 まだアニメという言葉がなく「テレビまんが」と呼ばれていた時代から活動してきました。今ではアニメを皆が見る時代になって、作品からミュージカルや舞台がつくられるようにもなった。ここまで一つの世界が広がっていくのは、長くアニメに関わっているとうれしいよね。

 気がつけば自分の周りに後輩が増えて、大御所と呼ばれるようにもなってしまいました。ただ長くやっているだけなんだけれど(笑い)。もう80歳を超えたし、引退は…、もちろん考えています。

 自分の中で決めているのは、みっともなくなったらやめようということ。歌う時には鏡に映る自分の姿を想像するんです。そのイメージと自分の実際に歌っている姿にギャップが生まれたら、引き際かなと思います。先日コンサート活動を引退した加山雄三さんの姿を見て、やはり最後は格好いいまま終わりたいと思いましたね。

 とはいえ、コロナも落ち着いてきてライブに歓声が戻ってきた。お客さんの声というのは我々歌手にとって一番のエネルギーになる。まだまだ頑張れるかもしれない。当然、いつかは仕事をやめる時が来る。それでも最後に残るのは…、やっぱり釣りだね。

 ◇ささき いさお 1942年(昭17)5月16日生まれ、東京都出身の80歳。60年に「和製プレスリー」のキャッチフレーズでデビュー。72年の「科学忍者隊ガッチャマン」でアニメ声優デビュー。73年からアニソン歌手として活動するようになり「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」が大ヒット。一度の離婚を経て81年に声優の上田みゆき(78)と結婚。

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