仕事量は9対1 ウエストランド・井口 相方とのギャラの分配は…

[ 2022年8月6日 06:30 ]

気合の入った表情を見せるウエストランドの井口浩之(左)と河本太(撮影・木村 揚輔)
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 スポニチアネックスでは、旬のお笑い芸人が自らのアピールポイントを語る連載「芸人 イチオシ」をスタートします。第1回は今年のM―1グランプリ最有力ともいわれる漫才コンビ「ウエストランド」。ソロでの活躍の場が広がる井口浩之(39)と、自他共に認める「何もしていない」相方の河本太(38)。2人の現在の“推し”とは――。

 ツッコミ担当でコンビのネタも作る井口のトーク力は評価が高い。現在、バラエティー番組に引っ張りだこだ。

 「M―1で一度決勝に行かせていただいたことで、自由にやろうというか、好き勝手やっていけばいいというのを感じました。それがいい方向に行っているのかもしれませんね」

 2020年のM―1グランプリで決勝進出後、井口はピンの仕事が増え、活動の場が広がっている。そんなコンビを今年の優勝候補とみるテレビ関係者は多く、井口の面白さを認める東野幸治(54)からは「頂点に立ってほしい」とエールを送られている。

 一方、相方の河本はこの2年間まったく進歩の跡がない。「僕、ネタもまったく書いてなくて、ホント何もしてないんですけど。去年よりもネタが良くなっていると思うんです。相方の調子がいいなと…」。究極の他力本願だ。テレビで井口ウオッチングを繰り返し動向をチェックするのが日課で「一視聴者というか、一ファンとして、井口が出ているものはほとんど見ていますし、相方だからということを抜きにして面白い。どこに行っても堂々として爪痕を残していると思います」と“何もしてない相方”らしく現状を語る。

 あきれ顔で聞いていた井口も「うるせえ。お前も何かやれよ!誰がどう言ってる話ですか?視聴者じゃないんだから!」とブチギレた。
 こうした労働力の格差ネタはウエストランドの面白さの一つだ。ステージ上のしゃべり、仕事量ともにほぼ井口と河本で9対1。それでもギャラは折半のまま。家族を盾に取って抵抗を続ける河本は「ボクには妻も子供もいる。“お前、オレの家族を路頭に迷わせる気か!”っていうことで折半を続けてもらっています。優しいですよね」。これに井口は「本当は嫌なんです。やめたいんです。優しいんです!」と投げやりに語った。

 2人は岡山県津山市で中学校、高校の同級生。井口の母親と河本の父親も同級生。そんな深い関係があるだけに、井口は“優しく”なっているようだ。

 中学時代からツッコミぶりが有名だった井口は芸人を目指し、コンビを組む相手を探していたが「周囲がみんなどんどんまともになってしまって、誘うわけにいかないなあという中でどうしようもないヤツがいたから組んだ」と振り返る。

 コンビ名「ウエストランド」も故郷のショッピングセンターにちなんだもの。地元の“看板”を背負ってM―1ファイナリストになったが「いい年齢になっていて、同級生もおじさん、おばさんになっていたから騒がれませんでした」。活動の原点はすべて故郷・津山。それだけに「思い描いていた地元の凱旋」を胸に秘め“もっと売れたい”との思いを強くしている。

 「(所属事務所タイタンの)太田光代社長からは単独ライブをやるように言われて考えたりもしています。いろいろやってみて力を付けて、語弊があるかもしれないですけど、M―1に出るのもテレビで活躍するためなんで。テレビにたくさん出て人気者になってキャーキャー言われて、有名芸能人と結婚したい(笑い)」。この日の取材での“しゃべり”の配分も井口の9対1だった。

 2年前のM―1の決勝の大舞台では河本が緊張しまくり、噛みまくったためかネタのウケはいま一つで10組中9位に終わった。「M―1での失敗はM―1でしか取り返せない感じはあるんで。そこは絶対行きたいです。若手たちにうざがられるぐらいやってやろうかなと思っています」。河本も「これでも一応悔しかった。とんでもない未練が残りました。決勝に行ってちゃんとやりたいです。コイツの足を引っ張らないように」。“何もしない相方”も少しだけやる気になっており、故郷に錦を飾るための準備は整いつつある。

 悲願が達成された時、優勝賞金1000万円も折半になるのか。こちらも注目ポイントになりそうだ。

◇ウエストランド 2008年11月結成。20年にM―1グランプリで決勝進出。
 井口 浩之(いぐち・ひろゆき)1983年(昭58)5月6日生まれ、岡山県津山市出身の39歳。趣味はサッカー観戦。特技は鼻を曲げられる。愚痴を言う。血液型B。
 河本 太(こうもと・ふとし)1984年(昭59)1月25日生まれ、岡山県津山市出身の38歳。趣味はキャンプ。19年「第1回サウナ温め選手権 日本大会」で優勝。血液型A。 

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