“歴代十津川警部” 西村さんをしのぶ 高橋英樹「自分の分身のような存在」

[ 2022年3月7日 05:30 ]

テレビ朝日「西村京太郎トラベルミステリーシリーズ」で十津川警部を演じる高橋英樹(左)=写真提供:テレビ朝日・東映
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 「十津川警部シリーズ」などトラベルミステリーの第一人者で、推理小説作家の西村京太郎(にしむら・きょうたろう、本名矢島喜八郎=やじま・きはちろう)さんが3日午後5時5分、肝臓がんのため、神奈川県湯河原町の病院で死去した。91歳だった。

 西村さんの代表作の一つで、人気があったのが「十津川警部シリーズ」だ。

 主人公の警視庁捜査1課の十津川省三警部が日本各地の列車を舞台に相棒の亀井刑事らと事件を解決していく作品。1978年刊行の「寝台特急殺人事件」で大ブームを呼び、各局でシリーズ化された。十津川警部を演じた船越英一郎(61)、内藤剛志(66)、高橋英樹(78)ら“歴代十津川警部”も西村さんをしのんだ。

 神奈川県湯河原町出身の船越は同町で暮らした西村さんとは30年以上の付き合い。各局の十津川警部シリーズにも出演し、2020年からはテレビ東京「十津川警部の事件簿」で主演を務める。西村さんから毎年新刊が届いていたそうで、今年も1月に手にした。「勝手に元気だと思っていた。十津川警部を演じさせていただくにあたり、コロナ禍でご自宅にあいさつに伺えなかったことが残念」と悼んだ。

 「君の芝居には刑事である前に人間が見える」――。4年前、番組の企画で西村さんの自宅を訪問した時にそう言われた。「いただいた言葉は私の糧であり宝物です」。“2時間ドラマの帝王”と呼ばれ、自身もミステリーファン。ミステリーの第一人者から贈られた言葉を大切に胸に秘めている。

 「先生の作品は見事なトリックに目がいきがちですが、人間の機微や社会問題など視野の広い世界が描かれていました」。ファンとしても魅了されていた。年間12冊ペース、約650冊を書いてきた西村さん。船越は「そんな多忙な中、いつ取材をしていたのでしょう?先生の残した、最大のトリックですね」としみじみ語った。

 内藤は92年から続くTBS「十津川警部シリーズ」で17年から主演。同年9月11日に放送された「伊豆踊り子号殺人迷路」では西村さんがゲスト出演し、作品内で共演した。「作品の中でもご一緒させていただき、素晴らしい時間を過ごさせてもらいました」と振り返った。

 高橋は00年からテレビ朝日「西村京太郎トラベルミステリーシリーズ」で主役を演じる。「年末に湯河原からおみかんを頂戴し、まだお元気のご様子と思っておりました。十津川警部は分身のような存在でした」と追悼した。

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2022年3月7日のニュース