安藤サクラ“運命的”「旅屋おかえり」初回ロケ地は柄本佑と出会った場所 火野正平ばりシリーズ化に意欲

[ 2022年1月25日 09:00 ]

特集ドラマ「旅屋おかえり」の主演を務める安藤サクラ(C)NHK
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 女優の安藤サクラ(35)が主演を務めるNHKの特集ドラマ「旅屋おかえり」が25日(後7・00~7・30、BSプレミアム)から4夜連続で放送される。安藤がNHKのドラマに主演するのは、ヒロインを務めた2018年後期の連続テレビ小説「まんぷく」以来、約3年ぶり。依頼人の代わりに旅をすることになったヒロインを演じ、ロケを行った秋田と高知は偶然、自身に縁の深い場所という“運命的な作品”となった。シリーズ化の構想もあり、BSプレミアム「にっぽん縦断 こころ旅」(月~金曜前7・45)の「火野正平さんのように、視聴者の皆さんからの投稿を基に、旅をするのもいいなと思っています」と意欲を示した。

 原作は「楽園のカンヴァス」などで知られ、19年に「第12回エキナカ書店大賞」に輝いた原田マハ氏の同名小説。旅の代行業を始める主人公の全国行脚の珍道中を描く。

 脚本はNHK「流行感冒」「群青領域」なども手掛けた劇作家の長田育恵氏。上演台本を担当した20年9月の舞台「ゲルニカ」が“演劇界の芥川賞”と呼ばれる第65回岸田國士戯曲賞の最終候補作品に選ばれた注目の演劇人。チーフ演出を務めた渡邊良雄監督ら「まんぷく」の制作チームが安藤と再び強力タッグを組んだ。

 三十路の大台を迎えたタレント“おかえり”こと丘えりか(安藤)。唯一のレギュラー番組「丘えりかのちょびっ旅」も、えりかの凡ミスにより打ち切られ、えりか所属&萬鉄壁社長(武田鉄矢)の芸能事務所「よろずやプロ」の経営は風前の灯だった。その折、事務所に届いた1通のメール。「病気の娘の代わりに旅に出てもらえませんか」。えりかは秋田へ向かう。

 第1回(25日)&第2回(26日)が「秋田編」、第3回(27日)&第4回(28日)が「愛媛・高知編」。昨年4月に秋田ロケ、昨年11月に愛媛・高知ロケが行われた。

 地元の名物を食べるシーンは、旅番組の食リポさながら。美しい自然を目の当たりにした安藤の生のリアクションも随所に盛り込まれたドキュメンタリータッチの新しい旅ドラマ。「画面を通じてですが、視聴者の皆さんにも旅先の魅力を体感していただかないと、この作品の良さが半減してしまうんじゃないか。だから、台本はありますが、書かれた通りにロケが進むとも限らないので、スタッフの皆さんとも話し合って、その時間その場所で自分が感じたことを自分の言葉で伝えようと出発しました。ただ、それは台詞を覚えるように事前に準備していけるものでもないので、とても緊張しましたし、きちんと自分の語彙力で伝えられるか、いつも心配でした。でも、本当に心から感動していれば、言葉じゃなくても伝わることはあると思って、撮影に臨んでいました」と、まさに自然体を心掛けた。

 これまで映画やドラマで数々のロケ地を訪れたが「昔から個人的に『今回はアイドル風に食リポをしてみよう』とか、自分で動画を撮っているんです。別にどこにも出さないプライベートな動画なんですが、ふざけるのが好きで(笑)。おかえりさんも元アイドルという設定なので、その経験が生きたかもしれませんね。アイドル役も演じてみたかったので『やった!』と喜んだんですが、そんなにアイドル感のないキャラクターでした(笑)」とアイドル口調で語り、笑いを誘った。

 12年に結婚した俳優の柄本佑(35)とは08年2月、あきた十文字映画祭(秋田県横手市)で出会い、秋田は思い出の地。また、映画監督の姉・安藤桃子(39)は「0・5ミリ」(14年公開)のロケを行った高知市に移住。今作の舞台となった場所は、どちらも縁が深い。

 「秋田」「愛媛・高知」は2編しかない原作のエピソード通り。「本当に偶然。のっけから、この2カ所とは驚きましたね。普段から秋田と高知の食べ物を東京でも頂いています」。過去に唯一出演した旅番組「にっぽん原風景紀行」(12年1月放送、BSジャパン)で訪れたのも秋田とあり「その番組で男鹿に行かせていただいて、ハタハタ漁も体験しましたし、なまはげ(鬼のようなお面とワラ製の衣装を身にまとい、家々を訪れる民俗行事)も取材しました。毎年、年末には(秋田の郷土料理)きりたんぽ鍋を家で食べたり、割と秋田通なんです(笑)。私が仲良しの4歳の男の子が“なまはげオタク”。この間もグッズをたくさんプレゼントしたんですが、すごく喜んでくれて、その晩“なまはげまみれで寝ている”写真が送られてきました。いつか彼を秋田に連れていって、なまはげに会わせてあげたい。それが次の目標です」と明かした。

 制作側は既にシリーズ化を視野。安藤は「2本目の愛媛・高知編は、よりリラックスして撮影できていたので、これから私が暮らしの中で日々学んで、変化、進化していけば、この丘えりかという役も自然と変化、進化していくんじゃないかと思います」と展望。希望の旅先を尋ねると、俳優の火野正平が相棒・チャリオ(自転車)と日本全国を走るBSプレミアム「にっぽん縦断 こころ旅」を引き合いに出した。

 「にっぽん縦断 こころ旅」の目的地を決めるのは、視聴者からの手紙。今作も「あなたのおかえり」キャンペーンと題し、秋田、愛媛、高知への思いを募集中。コロナ禍により会えない人、行けない場所の近況をNHKが代行取材し、番組公式サイトで報告している。

 「私、火野正平さんの『こころ旅』が大好きなんです。最初に今回のお話を頂いた時も『こころ旅』くらいの“心地よい緩さ”でやれるのかなと。うれしくて『やった!』と思ったんですが、意外とガッツリ、ドラマだったので、お引き受けするのを一瞬踏みとどまりました(笑)。原作1冊の中の2カ所は今回描いたので、今後は火野さんのように、視聴者の皆さんからの投稿を基に、旅をするのもいいなと思っています。今、勝手に言っていますけど(笑)」。誰に対しても壁をつくらない自然体のキャラクターを安藤が見事に体現。「これといったフックのない役は、実は難易度が高い」(落合将チーフ・プロデューサー)が、実に明るく、生き生きとした演技に明日への活力をもらえる。シリーズ化が待ち遠しい。

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